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IT嫌いのオーナー社長を説得するには?社内政治に必須「根回し」のコツ

学び

「一人で頑張る」ことが評価された20代と違い、30代では「組織を動かし、より大きな仕事をする」ことが求められます。しかし、さまざまな部門や立場の違う人がいる会社組織では、利害が衝突して当たり前。意見や提案がすんなり通ることなど、まずありえません

仕事

※画像はイメージです(以下同じ)

 その時、「正しい提案をしても、承認されないのは上がバカだからだ」と愚痴を言うのは20代まで。30代からは「正しい意見を実現可能な形で通して、組織を動かしていく」が求められます。いわゆる社内政治が大事になるのです。

 そこで必須になる能力があります。それが「根回し」です。今回の連載では『できる30代は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の著者で、人事戦略コンサルタントの筆者が解説します。

根回しはゲームと割り切ると楽しくなる

 根回しというと「裏から手を回す反則技」と誤解されがちですが、そうではありません。根回しの本質は「反対意見を事前に把握しにいくこと」です。そして、反対理由を把握し、やらない理由をひとつずつ潰し、提案内容のリスクを減らし、完成度を高めながら、賛成派を増やしていく前向きな行動です。

 ちなみに、根回しは日本企業独特のもので外資系にはないという話を聞きますが、そんなことはありません。むしろ外資系企業では、根回しなしに大きな議案をかけるなど聞いたことがありません。日系・外資系に関わらず、自分の提案を通すなら、味方を増やすことが王道なのです。最低限、「敵ではない人」を増やす必要があります。

 反対意見に直面するのは嫌なものですが、コツは根回しをゲームと割り切って楽しんでしまうことです。ただ、ゲームといっても、反対意見を論破するのではありません。論客は議論で勝っても政治で負けます。論が立つ人は嫌われ、出世もできない。

反対意見が出る原因は主に2つ

できる30代

『できる30代は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)

 これは、人事の世界では常識です。反対意見が出る原因は主に2つあります。

① 立場が違い「正義」が異なる
② 心理的な距離や好き嫌い

 まず、①については、あなたの提案をより良くするゲームをやっていると考えます。仮にあなたが営業であれば、「売上を上げる施策」を中心に考えるはずです。一方、調達、製造、管理などの部門は、コストの視点が強くなります。そこで、営業施策を立案する際には、反対意見を真摯に聞き、それをクリアするゲームをしていると考えるのです。そうすることで新たな視点が補われ、より確度が高い骨太な提案に近づきます。

 あなたが「意見を聞きたい」と申し出れば、感情的に反発していない限り、重要な指摘してくれるケースが大半です。「競合他社のデータはとったのか?」「この未来予測の前提は?」「この点をクリアしないと」など、前に進むヒントを教えてくれるのが一般的です

 反対=敵ではなく、同じ組織の味方として、あなたの提案をより良くするためにあえて敵役を演じていると思えば、心理的負担も減ります。

できる30代は、「これ」しかやらない

できる30代は、「これ」しかやらない

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