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「勝ち組になる!」制止を振り切って転職した“勘違いアラサー先輩”の後悔

コラム

 帝国データバンク発表の「新型コロナウイルス関連倒産の発生累計件数」によると、個人事業主を含む法人の倒産件数は2021年11月時点まで右肩上がりを続けていて、依然厳しい状態です。このような状況下での転職には、より慎重な判断が求められると言えます。

ブラック企業

※画像はイメージです(以下同じ)

 新型コロナによる緊急事態宣言が出たとき、宮前優紀さん(仮名・21歳)がアルバイトをする飲食店も休業となりました。未知のウイルスが蔓延したことに加え、収入が突然なくなるということで、スタッフで作ったグループLINEでも不安の声が飛び交っていたそうです。

「こんなところで働くような人間じゃない」

「そんなとき、職場の先輩だったH(29歳)が転職すると言い始めたんです。H先輩は、『俺には先見の明がある』と言っては、『俺は、こんなところで働くような人間じゃない』と職場をバカにしていました。しかも仕事がいい加減で面倒なことは後輩に押し付けるので、煙たがられていた人です」

 内心は喜んでいた宮前さんたちでしたが、一応タテマエで引き留めたスタッフもいたのだとか。けれどH先輩は、そのスタッフに「だからお前は、いつまでも仕事ができないんだ」などと返信。職場を散々バカにした挙句、飲食店を辞めることを宣言したのです。

H先輩を崇拝して辞めていったスタッフも

退職

「H先輩は正社員だったので、正直もったいないことをするなとは思いました。でも、そんなことを言っても、引き留めたスタッフみたいにバカにされるだけだと思って黙っていました。H先輩は『自分はいままで副業でプログラミングをやってきた。いまからの時代はプログラミングだ』と書き込み、本当に飲食店を辞めて転職してしまいました

 転職してすぐは「VIP待遇で入社した」「大きな仕事を任された」などと自慢を伴った近況報告が頻繁に送られてきたそうですが、3か月ほどするとピタリと来なくなります。ようやく嫌味と自慢たっぷりの近況報告がなくなったとスタッフ一同、胸を撫でおろし、宮前さんたちはそっと別のグループLINEを立ち上げました。

「H先輩とやり取りしていたグループLINEは、連絡がなくなってだいぶ経ってから削除しています。彼が辞めてからも、職場は時短営業などを繰り返していましたし、依然厳しい状態が続きました。そのあいだに辞めたスタッフも結構います。H先輩は勝ち組だったなど、H先輩を崇拝するカタチで辞めていったスタッフもいました

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