「日本が特別は言い訳」“スウェーデン出身”ボルボ日本法人社長が語る仕事観
3年間いつでも有給休暇を取得可能
そんなマーティン氏は現在、ボルボ・カー・ジャパンの組織変革や制度改革に取り組んでいる。
今年4月には「デジタル&カスタマー・エクスペリエンスチーム」を立ち上げて、デジタル人材を積極的に雇用。同じく今年4月には、ボルボが全世界の工場・オフィスで働く勤続1年以上の全従業員を対象に、24週間の有給育児休暇を付与する「ファミリー・ボンド・プログラム」を導入した。
対象者は男女を問わず、養子縁組、里親、代理出産を含む法的に登録されたすべての親、および同性カップルの出産していない親にも適用される。育児休暇期間中は基本給の80%が補償され、子どもが生まれてから3年間はいつでも取得できる。
マーティン氏は日本のトップとしてこの制度の利用を推奨する立場だ。
ダイバーシティ重視の改革「不安はない」
「男性も育児休暇を取ることで、女性が出産や育児をしてもキャリアを継続できる。これは非常に大切なことです。私自身は日本にいるときに育児休暇を取れなかったのですが、それを後悔しています。ダイバーシティがあることによって、偏っていたら生み出せないものが生み出せるようになると信じている。だからボルボはダイバーシティを重視しています」
組織や制度を変えることは、新しい挑戦でもある。マーティン氏も「私は自らチャレンジングな仕事にのぞんでいます」と話す。しかしその挑戦に、不安はない。
「新しい挑戦に不安は感じません。必要なのは、努力する力とエネルギーです。挑戦をしないとイノベーションは起こりませんし、同じことを繰り返しているとただの習慣になってしまう。だから新しいことに臨んでいきます」
日本に来ると決めたときから変わらない、挑戦への想い。その想いが“エネルギー”となり、彼を突き動かし続けている。
<取材・文・撮影/新妻 翔>