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「日本が特別は言い訳」“スウェーデン出身”ボルボ日本法人社長が語る仕事観

ビジネス

スウェーデン・ロシア・中国でポストを歴任

ボルボ

 その後、2008年にボルボのスウェーデン本社へ異動し、グローバルCRMの責任者に就任。そこから、ロシア、中国でのカスタマー・サービス責任者、本社でのグローバル・カスタマー・サービス責任者を経験し、2019年にボルボ・カー・ロシアの社長に。そして先述したとおり、2020年10月にボルボ・カー・ジャパンの社長に着任。ボルボで重要なポストを歴任してきた。

「中国ではボルボの成長が著しい時期だったので、スピーディーに動いているなかで仕事をしました。スウェーデンの本社にいるときは、より戦略的な部分を深掘りする仕事をしていましたね。ロシアも含めて、すべての国で異なる経験をしてきました

 ボルボで働き始めて、今年で23年目。ひとつの企業で働き続けていると“マンネリ化”を感じ、異なる仕事に興味を持つ人も多い。しかしマーティン氏は、ボルボで働き続けたからこそ多様な経験ができたと話す。

「私は23年間ひとつの企業に勤めていますが、ボルボは大きい企業なので、社内でいろいろな仕事ができます。そういう意味では、非常に多様だったなと思っています」

日本人は「日本は特別」を言い訳で使う

ボルボ

「日本人は『日本は特別』という言葉を大きく捉えすぎている」と、マーティン氏

「各国でのビジネス経験で学んだことは?」。日本と海外でキャリアを積んできたマーティン氏に筆者が質問を投げかけると、こんな答えが返ってきた。

日本では『日本は特別だ』という言い方をしますが、決してそうではないということを学びました。確かに一部で特別なものはある。でもこれは“変わらないための言い訳”として使っている場合が多いと思います」

 日本は特別――。確かによく聞く言葉だ。島国だから。単一民族、単一言語だから。伝統を重んじる国民性だから。そうした文脈で「日本は特別だ」と語られることがある。

「私はいくつかの国で仕事をしてきましたが、ロシアでも中国でも通用するリーダーシップやビジネスプログラムは、日本でも通用する。むしろビジネスだからこそ通用するものが多いと思います」

 ビジネスの世界における“グローバル・スタンダード”は、日本のスタンダードにもなる。しかし変化を嫌う日本では「日本は特別」という言葉を拡大解釈して、グローバル・スタンダードを受け入れないことがある。日本でも海外でも豊富なビジネス経験を持つマーティン氏だからこそ、それに“違和感”を覚えるのだろう。

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