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10分で商品を配達するネットスーパー「ダークストア」、実態を運営企業に聞いた

コラム

ダークストア」という言葉を耳にしたことはあるだろうか? 今やダークストアは欧米や中国で当たり前になっている宅配専門のネットスーパーだ。海外では正式に住所が公開されていないことから、ダークストアと呼ばれている。

OniGO

電動自転車で配達するOniGOスタッフライダー

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 ダークストアは以前から日本でもひそかに百貨店や、アパレルなどの小売業界からも注目されてきた。宅配だと大手のAmazonや楽天が人気だが、届くのに早くて半日や1日はかかる。それがアプリから注文して商品が10分で届くとなるとどうだろう?

 そんなこれまでにない配達時間設定を実現したのが「OniGO株式会社」だ。今回はアプリをゼロから開発した OniGO株式会社共同創業者の山本敬明氏に、ダークストアを設立したワケを取材した。

海外でも普及率の高いダークストアを開業

 実はあまり知られていないが、ダークストアのようなネット注文の宅配スーパーの先行事例には、イトーヨーカドーが2015年から展開している「ネットスーパー西日暮里」がある。一方、OniGOは「10分で届く宅配スーパー」として2021年8月25日、学芸大学駅(目黒区)に1号店を構えた。続けて10月に武蔵小山駅(品川区)にも2号店がオープン。会社を設立したきっかけを山本氏はこう語る。

「ダークストアは海外で非常に盛り上がっています。そして日本でもコロナ禍で外に出たくないため、ネットでものを購入する人がかなり増えました。食品流通の大きな潮目かなと思うのですが、購入者の話を聞くと『時間指定はできるけど、2~3時間の幅設定でいつ届くかわかわからない』など配送時間に関する不満が強くあった。そこを解決できる会社として、今が参入のチャンスと考えたのです」

 そんなOniGOは2021年6月の立ち上げ同時に、計画に必要な3億円を調達して話題になったが、黒字化になる目処については「非公開」とのことで、まだまだ起業初期段階のようだ。

配達&在庫管理アプリをゼロから開発

 システムの開発者には外国人が2名(Maxim Matyunin氏、Dmitry Maevsky氏)。「優秀なエンジニアを共同創業者として迎え入れ、私たちは業務に最適化されたシステムを“フルスクラッチ”で作り上げたのです」と山本氏は回答する。

「既存の在庫管理システムをカスタマイズして使えないか、ということも検討しましたが、我々の業態に合わなかった。通常のネット販売業者は、大量に指示書が来ても即配達するわけではなく、売上処理も別で行っています。注文を受けてから10分で配達し、売上管理までできるシステムは今までにありません。開発したアプリは、フロントのアプリと在庫管理システム、ピッカー用(梱包係)のアプリとライダー用があり、その4つが全部連動しています」

OniGO

それぞれ番号でわかりやすく振り分けている

 OniGOの店内は倉庫のようになっており、そこに商品を陳列している。注文が入ったらピックして配達。取材時(2021年10月)に肉は冷凍ではあるものの、野菜や日用品、インスタントから冷凍食品まで幅広く揃っていた。商品数に関しては2021年内に1500種類になるようだ。また、商品の値付けは一般的なスーパーと同価格という。

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