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テレワークしづらい日本の家事情。米国人が実践する「新しい働き&暮らし方」が凄かった

ビジネス

デジタルではない、直の繋がりへのニーズ

ヘイブン・コリビング

家族のように仲がよい、ヘイブン・コリビングの住人たち

 コロナ禍が収束したとしても、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の「リモートワーク」が持続可能だとすれば、デジタルノマドやフリーランス以外の企業に勤める独身の若者たちの需要もありそうだ。「コ・リビング」は、自分と趣味が合う人たちと暮らしていく新たなライフスタイルとして主流になっていくかもしれない。

 ただし、欠点もある。共同生活のため、プライバシーを守ることは難しい。1人用の寝室もあるが、他人と共有する寝室に住む場合は、ルームメイト同士でトラブルが発生する可能性もあるだろう。また、生活と仕事を同じ場所にしているため、プライベートと仕事との区別がしにくく、人によっては暮らしのバランスが崩れる可能性も否定できない

 家賃の節約をするだけが目的だとしたら、広い部屋から家賃が安い狭い部屋の住居へ引っ越したり、家賃が高い都会から家賃が安い郊外へ引っ越したり、郊外の広い部屋と都会の狭い部屋の家賃が同額ならば狭くてもお洒落な都会暮らしを選ぶなど、さまざまな節約方法はある。なぜ、「コ・リビング」が人気になっているのだろうか?

孤独で寂しさを抱えた人たちが増えた

 米国では、10代後半から20代の若者の自立が日本よりも早い。高校卒業するくらいの年齢になると、親元を離れて大学の寮に入ったり、アパートメントを賃貸したりして、ひとり暮らしや、前述の通り、ルームメイトと一緒に暮らし、学生生活や社会人生活を始める。

 最近の傾向では、米国では珍しい現象が起きている。コロナ禍で経済的に苦しくなった若者たちが実家へ戻るケースが増えているのだ

「個人の自由と権利」を主張し、個を大事にする若者が多い米国にもかかわらず、大家族のように大勢で暮らす「コ・リビング」が流行しているのは、経済的な問題や孤独で寂しさを抱える人が増えたコロナ禍に限らず、デジタル時代で人との直接の結びつきが薄くなった人々の反動でもあるようだ。

<TEXT/藤本庸子 Yoko Fujimoto>

米国カリフォルニア州ロサンゼルス33年在住のフリーランスライター。雑誌「アンアン(anan)」「メンズクラブ(MEN’S CLUB)」などのライターを経て、米国へ移住。米国起業家向け雑誌トップの「Entrepreneur Magazine」にてスタッフライター、NHKラジオ第一放送「ラジオ深夜便」ワールドネットワークにてリポーターの経験も。現在、新聞、雑誌、ウエブサイト、ラジオ、テレビなど、さまざまな分野および媒体をこなす

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