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中国のウイグル族弾圧に日本政府は“弱腰”だが…あえて「賢明」だと言えるワケ

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日本がウイグル弾圧を積極的に批判しない理由

 日本政府は中国のウイグル弾圧について、欧米諸国のように強く批難はしていない。

 日本政府のこうした姿勢は弱腰のように映る。これはなぜかというと、日本が批判したりすれば、中国はすぐに日本を目の敵にするのが常で、日本政府としては反日感情が高まることを極力避けたいからだ

 中国は欧米と対峙するよりも、日本との歴史的な対立を利用したほうが得策だと考えているので、日本政府は、そうした罠にはまりたくないのだと思われる。中国共産党は歴史的な正当性を抗日闘争におき、これを国家教育の軸にしている。つまり、反日そのものが今の中国の国家アイデンティティのようなものであり、最も簡単に火が付く話題である。

 特に今年は、中国共産党設立100周年を迎え、習近平政権のナショナリズムが非常に高まっている。「中国人民共和国海警法」という法律を施行して、たとえばフィリピンと衝突したり、日本の尖閣諸島周辺に連日、複数の巡視船を航行させたりして、どこまで自国の覇権が拡張できるのか試しているようだ。もちろん、バイデン政権の意向を探るという意味合いもあるのだろう。

ウイグル問題への日本政府の対応は「絶妙」

エミン・ユルマズ

エミン・ユルマズ氏

 中国は自国の覇権力を試す上で、台湾よりも尖閣諸島をターゲットにするほうが容易だと思っているはずだ。台湾は軍隊を保有しており、アメリカと米華相互防衛条約を結んでいる。台湾に対して何らかの覇権行為を強行すれば、それこそ「台湾有事」になりかねない。しかし、尖閣諸島は無人島であるし、武力衝突に発展する可能性が低いと見て、中国は利用価値があると踏んでいるわけだ。

 たとえば、尖閣諸島に上陸して、中国旗を立てて「尖閣諸島は中国固有の領土」と言い続けて既成事実化していけば、日本が軍事行動に出ない限り、尖閣諸島を日本との交渉カードとして利用できるので、中国にとっては御の字だ。占有し続けることができれば国民に「日本に勝利した」と喧伝し、ナショナリズムを煽ることもできる。

 つまり、旧ソ連が第二次世界大戦終了直前に北方四島を占拠して、ベルリンの壁崩壊後、ロシアになってからも日本から有利な条件を引き出すために北方四島を利用してきた“手口”と同じだ。日本政府が独自にウイグル弾圧を批難すれば、中国は尖閣諸島の領有化を先鋭化しかねない。日本としてはそうした事態を招かないために、難しくはあるがウイグル問題に対して微妙なバランスを保とうとしており、これは賢明な策だと思う

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