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ALSOK子会社で、違法残業1876時間と残業代482万円を放置された現役社員が実名告発

ビジネス

延期される違法残業代の支払い

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未払い賃金の詳細

 しかし、またも衝撃が襲う。5月末に違法残業代を支払うと約束していた会社側が、支払い日直前の5月28日になって「親会社のALSOKからストップがかかった」と一方的に支払い期日を延期してきたのである

「納得のいかない私は、6月2日、直接親会社のALSOK本社に赴き、ALSOK村井会長との面会を要求しました。でも、多忙を理由に面会を拒否されました。その後、紆余曲折あったものの、6月28日に違法残業代の未払金は全額支払われ、会社側からは謝罪もありました。ただ、村井会長からは何の連絡もありませんし、労働基準法違反の再発防止対策も策定中のままです」

 また、小又氏は未払金の支払いが延期された件について、「5月末に違法残業代を支払い、もし表沙汰になると、6月末におこなわれる株主総会に影響しかねないから、支払いを延期したのではないか」と推測する。

「労基署が指導に入ったことで、驚くようなスピードで未払い賃金は支払われましたが、一方的に違法残業代の支払いが延期されたこと、そしてALSOK会長から何の回答も得られてないということから、会社の隠ぺい体質自体は変わっていないのではないかと思うのです。それに、謝罪はありましたが、もともと残業自体なかったこととして処理されかけましたしね」

責任の所在をはっきりさせる必要がある

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未払い賃金が振込された(税引き、控除後)

 小又氏は、ユニオンや全労連には加盟していない。それでも、彼と、職場の人間2人とともにわずか3人でALSOK労働組合を立ち上げている。

「組合結成後、会社側の態度が一変し、話し合いに会社幹部が出てくるようにはなりました。しかし私の訴えを放置し続けた責任を会社側は誰一人取っていませんし、親会社もその点は見て見ぬふりです。ここで責任の所在をハッキリさせてキチンと追及し、シロクロつけて今後につなげることが労働組合の責務だと思っています。また、会社の明日にも繋がると思うのです。私の会社だけでもそうさせないために組合を立ち上げました」

 小又氏が労働組合を立ち上げたのは、労基署が入るまで話も聞いてもらえず、違法残業代の請求を何度も放置されたためだという。労働組合を結成すれば「団体交渉権」というツールが手に入るだけでなく、会社が従わなければ罰則もあるためだと小又氏は続ける。

「労働組合は、最低2人いれば結成することが可能です。どこかに登録をする必要もないし、会社に報告したり認めてもらったりする必要もありません。規約や団体交渉などで会社に提出する書類も、インターネットにすべて雛形があるので、想像したよりとても簡単でした」

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