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ALSOK子会社で、違法残業1876時間と残業代482万円を放置された現役社員が実名告発

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 警備大手の綜合警備保障株式会社(ALSOK)といえば、家庭や企業のセキュリティはもちろん、東京2020オリンピックでも所属選手が活躍するなど誰もが知る有名企業だ。

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※画像はALSOK昇日セキュリティサービス株式会社公式サイトより

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 しかし、「bizSPA!フレッシュ」編集部に寄せられたのは「月平均220時間の残業を消されかけた」と語る、ある男性の訴えだ。「約1年間、1人で2人分の勤務をこなした」にもかかわらず、その真実をなかったこととされかけたというのは、ALSOKの子会社に勤務する警備員、小又寛氏(56歳)。

 その顛末とともに、ユニオンや全労連などに頼らず小又氏が個人で立ち上げた「ALSOK労働組合」についても話を聞いた。

「1人で2人分勤務」のいきさつ

 小又氏が勤務するのは1997年に創立、2017年2月に綜合警備保障の連結子会社となったALSOK昇日セキュリティサービス株式会社だ。

「警備業界って、人気がないんです。常に人材募集はしているけれど人材不足という感じで。今回の1人2人分勤務の発端となった2019年はとくにコロナ前だったので、かなりの人材不足でした。でも、そんな状況にもかかわらず、新規の仕事を会社がたくさん獲得した時期でもあったのです」

 その頃、小又氏は、ある事業所の24時間警備を相方と2人で1日おきに担当していた。しかし、会社が獲得した業務と警備員数の釣り合いが取れない状況となり、2019年8月、小又氏の相方がほかの警備に回されることになってしまう。

勤務記録改ざんを依頼される

警備員

※画像はイメージです

私がいた事業所は、2020年の春にはなくなってしまう予定だったんです。なので、あまり重要視されず、別の案件に人材が回されていきました。私はセンター長(直属の上司)に依頼され、この頃から勤務記録を労働基準法以内である月60時間以内に改ざんし、違法残業(36協定違反)をするようになりました。

 会社側は、『新しい人が来るまで、お願いします。残業代は支払うので』という感じでしたし、私もこんな大事になるとは思わず、新しい人が入るまでの辛抱だと思っていたんです。でも、コロナの影響もあり、事業所の警備が終了するのが2020年の7月となってしまい、結局は新しい警備員も配属してもらえないままでした」

 小又氏は約1年もの間、(週に1回の休み以外は)1人で24時間勤務を連日こなすしかなかった。その間は「平均残業約220時時間/月(最高約280時間)、違法残業1876時間/年にも及びました。また仮眠5時間、昼休憩と夜休憩が1時間ずつで合計7時間は休憩のようなものがありますが、その間に出かけることは不可能だったため、実質的には24時間拘束されているのと同じでした」という。

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