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女性のカレー離れに挑むハウス食品、話題の“カップ入りカレー”誕生秘話

ビジネス

ポタージュ仕立てで新感覚の商品を考案

ハウス食品

「やさしく夜遅カレー」<濃厚あめ色玉ねぎ&ブイヨン>

「ごはんとセットで食べるカレーだと、高カロリーになってしまうので選ばれませんし、スープだと物足りなさを感じて満足感が出せない。何度も試行錯誤を繰り返しながら、とろみをつける油脂や小麦粉の分量を減らし、その代わりに野菜をたっぷり加えてコクを出すことで、粒状感あるものを目指しました。

 こうして、スープでもリゾットでもないポタージュ仕立てのカレーが誕生したんです。味は現在『まろやか完熟トマト&5種の野菜』と『濃厚あめ色玉ねぎ&ブイヨン』の2種類がありますが、消費者の声をもとに凝縮した野菜の味と、クミンやカルダモンといったスパイスの絶妙なバランスを考え、やさしくも濃厚なカレーに仕立てました」

 さらに容器の開発にも苦労を重ねたと長瀬氏は続ける。

「レトルト食品は工場で加熱殺菌を行う工程があるのですが、やさしく夜遅カレーは既存のパウチではなくカップ容器にこだわっていた分、容器開発にも相当苦労しました。加熱殺菌に耐えられるカップ容器が今までなかったこともあり、高温・高圧で加熱処理を行うと中身が崩れてしまうのが大きな課題でした。食品容器メーカーと何度も話し合い、形状や素材などを色々と試していきながら、レンジで温めても中身が崩れないカップ容器を作ることができました」

大々的なプロモーションは行わない

ハウス食品

 企画から開発、そして販売に至るまで3年を要し、ようやく日の目を見たやさしく夜遅カレー。現在では関東や中部、関西のコンビニや一部ECサイト限定で発売している。大々的なプロモーションやSNS広告などをやらずに、密かに話題となっているのは「マスへの露出が効果になっている」と長瀬氏は話す。

「やさしく夜遅カレーが、夜遅い時間を狙った新たな喫食シーンを醸成しているということから、朝の情報番組などテレビへの露出が大きいと思っています。また、既存のカレー商品には珍しいカップ容器を採用しているので、気軽にレンジで温めて美味しいカレーが食べられることも支持されている一因です。口コミで商品の良さが広まっているような実感を得ていますね」

 カップ入りカレーという新ジャンルの商品だからこそ、消費者の興味関心を惹くことにつながっているのだろう。長瀬氏におすすめの食べ方や喫食シーンについて聞いてみた。

「そのままでも、パンやごはんに合わせても美味しく楽しめますが、個人的には焼きたてのバケットに浸して食べるのがおすすめですね。また、カップ容器で持ち運びやすいので、デスクでもソファーでも場所を選ばすに食べられるのがメリットです。夜遅い時間に、ちょっとした幸福感やほっこり心が温まるような癒しを求めるシーンにぴったりだと思います」

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