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アップル元社員23歳が“フルーツ”で起業した背景「農業のマイナスイメージを払拭したい」

ビジネス

 日本の食料自給率はカロリーベースでは4割弱で、農業に携わる人口も年々減少し、昨今では特に「若者の農業離れ」が問題視されています。そんななか、株式会社Bonchiの若きCEO・樋泉侑弥さん(23歳)は高校卒業後、シドニーへの留学とApple 表参道店での勤務を経て起業。

株式会社Bonchi CEO・樋泉侑弥さん(23歳)

株式会社Bonchi CEO・樋泉侑弥さん(23歳)

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 現在は、生まれ育った山梨県産の果物のEC販売(ECサイト「Bonchi」)に取り組んでいます。前編ではAppleに勤務していた頃のお話や起業のきっかけについて聞きましたが、後編ではBonchiのビジネスと日本の農業への思いを語ってもらいました。

農業へのマイナスイメージを払拭したい

――農業分野での起業というのは、特に樋泉さんのような若い人では珍しいですよね。

樋泉侑弥さん(以下、樋泉):僕は山梨南アルプス市の桃園(ももぞの)出身で、その地名のとおり、桃とさくらんぼが名産の地域で育ちました。物心ついたときから農業のある環境だったんです。でも、日本の果物農業の可能性を感じたのは近年になってからですね。

――子どもの頃の農業へのイメージはどうでしたか?

樋泉:地元では「農業=大変な仕事」というイメージがあるのが現実です。山梨だけでなく、他の地方も同様だと思います。親からは「農家になるな」って言われますし、ほとんどの農家が農協を通じて出荷をしているのですが、農協のシステムは成立から70年ほど経っており、現状に即しているとは言い難いです。だから、農業の担い手が減ってしまっています。

最高峰の果物を全国へ

樋泉侑弥さん

樋泉:でも、果物を育てることは職人仕事なので、その担い手がいなくなると、長い年月で培われた経験と技術が失われてしまいます。そこで、Bonchiでは農協ではできない部分を補いながら「良いものには良い値段を」という思いで、取り組んでいます。

――農業をしてきた地域でもマイナスなイメージがあるんですね。

樋泉:今では地方よりも都会のほうが、農業や自然に対して良いイメージを持っているように思います。当たり前のことですが、人間は食物がないと生きていけないので、農業はなくならない産業です。コロナ禍で二拠点生活を始める人も増えていますし、今後は東京一極集中から地方回帰の流れが強まるんじゃないかなと思っています。都心を離れてスローな暮らし方を求める人々によって、農業のように人間味のある仕事が盛り返すのではないかと。

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