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やがて老後の資金は自己責任に?今から知っておくべき「年金の真実」

コラム

「年金ってこの先どうなっちゃうの?」「私たち世代でもこの先もらえるのかな」。街頭インタビューで将来の不安を口にしていたのは30代女性。

年金手帳

※画像はイメージです(以下同じ)

 私は40代ですが、年金を受給するのは当面先の世代です。同世代の方からは「もう年金制度は破綻している」「年金なんて当てにできない」と悲観する声をよく聞くのですが、実際のところ年金は破綻してしまうのでしょうか?

知っておきたい年金のしくみ

 将来の年金について考える上で、まずは、年金がどういうしくみになっているのか、また、現状どのくらいのお金が動いているのか確認しておきましょう。そもそも年金はどのくらいの金額が支給されているのでしょうか。

 はじめに国の年金の収支を見ていきましょう。厚生労働省の「2019年度公的年金財政状況報告」によると国の公的年金の保険料収入は39兆904億円であり、支出である年金給付費の総額は52兆9607億円であるとされています。この公表結果だけを見ると、必要な年金額に対して14兆円弱保険料が足りていないことが分かります

「こんな制度はすぐにやめるべきだ」と声を荒げる前に知っておいてもらいたいのは、日本の年金制度は「世代間扶養」であるということです。つまり、皆さんが毎月払っている保険料は将来自分が年金をもらうときのために積立てているわけではなく、現在の年金受給者が受けている年金にあてられているのです。

 ただし、上記にあるように現役世代の保険料をすべてあてても14兆円弱足りておらず、足りない部分について国庫つまり税金で賄っているのです。この状況が続いた場合に年金制度を維持できるのでしょうか。

「気づいたら減っていた」なんてことも!?

法律 弁護士

 現在支払われている年金は現役世代の保険料を直接財源にあてていることをお話ししました。上の数字にあるように年金の保険料収入39兆904億円というのは今の現役世代の人口があって成り立っているといえます。

 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年1月)」の統計によると2020年の15歳から64歳までの生産年齢人口は7406万とされていますが、2050年には5276万人と3割近く減ってしまうことが想定されています。

 つまり、生産年齢人口が減るということは39兆904億円の保険料収入も3割減ってしまうことに繋がってしまうのです。さらに支出では高齢化が進み、年金受給者は増えることが想定されているため、必要な年金額はより増加することが考えられます。仮に39兆円から3割減って27兆円になってしまえば、さらに12兆円分どこかで負担せざるを得なくなることがわかります。このような状況が続いている中で年金制度の崩壊が現実味を帯びてきたことにより国が大きく動いたのが2004年に行われた年金の大改正なのです。

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