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格安アパートに飛びついた20代カップルの恐怖体験。引っ越しのときに視線が

コラム

違和感が恐怖に変わるとき

暗い廊下

「それから、引っ越しのときに視線を感じて、その先を見ると、隣人の中年男性がジッとこちらを見ていたんです。しかも、引っ越しが終わるまで、ずっと。引っ越し後も隣人は、Nが1人で訪ねて来るときに『今日は、こんな会話してたね』『今日は、お盛んだったね』とか話しかけていたみたいです」

 また、Nさんの後ろをつけていたほか、待ち伏せして驚かすことも。恐怖にかられたNさんはアパートに近寄らなくなるとともに、岡田さんに引っ越しを迫るようになり、衝突することも増えたといいます。

「Nとは、毎日のように別れ話をしていました。しかもその頃から、壁を長時間コツコツと叩く音が隣の部屋から聞こえたり、ドアポストにゴミが投函されるようになったり、だんだん精神的に追い詰められて寝不足になりました

「N名義で中古マンションを買おう」

 会社では遅刻が増えて注意を受け続けましたが、寝不足で頭が回らず、引っ越しを考えることさえできなかった、と岡田さん。そして、一身上の都合により退社。事実上のクビだったとか。また、この頃に同じアパートの古い住人から「前に、あんたの部屋に住んでいた人は精神的におかしくなった。早く引っ越すべき」とアドバイスを受けます。

「自転車置き場や共有のゴミ箱を荒らしていたのも隣人の男らしいものの、証拠がなく野放しになっているとも聞きました。そんなとき、しばらく連絡を取っていなかったNから連絡があり、『2人の結婚資金を足して、N名義で中古マンションを買おう』と言ってくれたんです」

 岡田さんは、とにかくいまの状況を脱しないと「Nさんとの将来もない」と考えます。そして、Nさんの両親に保証人となってもらい、もともと高級マンションだった物件を中古で購入。即、引っ越したそうです。

「でも、引っ越して半年以上経っても、なかなか仕事が見つからずドン底でした。安アパートがどこも同じだとは思わないけど、どんなに忙しくても焦っていても内見は必須だし、できれば昼や夜に何度か行ってみたほうがいいと思います。また、自分だけで物件を決めず、付き合っている人や家族に意見を聞くことも大切です」

 今は引越し先で得た関係で徐々に安定した収入を得られるようになったという岡田さん。しかし、相場よりも安い物件を見つけたときには「安かろう、悪かろう」で引っ越さないよう、安い理由を知っておくことも大切かもしれません。

<TEXT/山内良子 イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

-[若者の「安物買いの銭失い」体験談]-

フリーライター。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意です

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