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売上8兆円超、中国の巨人アリババ。東京五輪スポンサーは日本進出への布石か

ビジネス

クラウドサービスを活用して大会に協力

アリババ

 さて、アリババは米インテルやトヨタ自動車に並ぶ東京オリンピックの「ワールドワイドオリンピックパートナー」となっており、大会ではさまざまなサービスを提供しています。目玉のひとつが放送業者向けのOBS(Olympic Broadcasting Services)クラウドです

 OBSクラウドは映像を有する放送権者とコンテンツを流したいメディアをつなぐクラウドで、短編映像のやり取りを効率的に行うことができます。従来のように業者間がそれぞれのシステムを用いて映像を送受信する必要はありません。

 また、記者会見場に行けなかった担当者向けに会見場の映像をダウンロード・編集できるクラウドも提供されています。その他にもアリババはメディア関係者が簡単に情報・名刺交換できる小型デバイス「Alibaba Cloud Pin」を提供しており、こちらはスマホにアプリをダウンロードしておくと、小型デバイスを近づけただけでデータを交換できるようです。このようにクラウドを基盤としたサービスを提供し、大会に協力していることが分かります

東京オリンピックを日本進出の布石に?

 中国国内の通販を主事業とするアリババが東京オリンピックに進出する理由はどこにあるのでしょうか。考えられるのは日本市場への進出です。先述のとおり同社のクラウド事業は2009年にスタートし、日本には2016年に進出しました。オリンピックの最高位スポンサーになったのは2017年です。

 アリババは、家具小売り大手のニトリ向けに2019年、クラウドの画像検索エンジン「Image Search」を提供しています。これによりニトリのアプリで撮影した画像から類似製品を検索できる機能が実装されました。こういった大手企業での実績はアリババにありますが、いまだに国内の認知度は低いようです。

 また、ソフトバンクのバックアップがあるものの、中国企業ということもあり、一般レベルでは「データを盗まれるんじゃないか」という不信感も否めません。そのため、アリババは東京オリンピックを見本市として認知度・信頼性を高める狙いがあると考えられます。

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