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性転換した“元女子YouTuber”の半生「母親には手紙でカミングアウトした」

暮らし

性転換へ。母に手紙でカミングアウト

――家族へのカミングアウトも大きな問題となる人が多いと思います。この点、奏太さんはどうしたのでしょうか。

奏太:家族にカミングアウトしたのは大学の友人よりも後になります。大学を卒業するときに、女性としてではなく男性として世に出たいという気持ちを持っていたことがきっかけです。

 戸籍上で男性になるには日本では性転換が必須なんです。性別適合手術をするのに僕の場合は150万円くらい必要でした。「まずは性転換!」と思っていたので、お金を貯めるために、就職しないでしばらくバイトすることにしました。

大学時代

大学時代

――親からすると「大学を出たのになんで就職しないの?」となりますね。

奏太:それで、母親に手紙を書いたんです。僕の両親は耳が聞こえないので、手紙で伝えるのが良いだろうと。僕自身はカミングアウトできたことでほっとしましたが、すぐにはすべてを理解してもらえませんでした。

 性転換する前の名前は果奈(かな)と言います。母親はもちろん名前で呼びますよね。でも僕はその女性の名前では呼んでほしくはないんです。そういった感じでカミングアウトした後で言い争いになってしまうこともありました。理解に至るまでは対話の積み重ねですね。今では両親ともに理解をしてくれて、YouTubeにもでてくれています。

日本で性別を変えるために必要なことって?

リモート取材

取材はリモートにておこなった

――両親にもカミングアウトをした上で性転換をしたのですね。

奏太:今で性別が変わってちょうど5年ですね。タイで性転換をしました。タイのほうが日本よりも料金が安くて症例数も多いんですよ。ほとんどの人がタイで手術しているんじゃないでしょうか。

 日本では戸籍の性別を変える場合、性別適合手術以外にもいくつか条件や手続きがあるのですが、そのひとつに家庭裁判所で「性別の取扱いの変更の審判」を受けるというのがあります。裁判官と面接をするんです。

――裁判官と面接というのはなぜですか。

奏太:裁判官が視覚的にちゃんと男性に見えるか、女性に見えるかを判断するんです。

 公共施設やトイレなど、男女が別になっている場所で周りを混乱させないためというのが大きな理由です。ちなみに、あまり知られていませんが女性から男性になる場合に胸の除去は必須ではありません。それでもやはり女性性の象徴ということで除去する人が大半ですね。

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