DXに強い人材になるには?東大・松尾豊教授に聞く、“アナログ体質”を変える方法
懸念されているリスク「2025年の壁」
日本企業がこのままDX化を推進しないことで、2025年以降に巨大なリスクが発生すると予想されています。それが「2025年の壁」と言われているもので、さまざまなシステムが老朽化し、国際競争力の衰えや甚大な経済損失があると予想されています。
国や企業といった大きな枠組みだけの話に感じますが、すでにDX化の遅れによる経済の低迷、個人の所得の減少、そして弱者へのしわ寄せという形で影響が出始めていることも事実。そのため、自分の会社のみならず、社会全体がDX化するかどうかは、これからを生きる若手会社員にとっては自分事として捉えるべきなんだそう。
「企業としては新しい技術を正しく導入したり従来のシステム開発の方法を変えたりすることです。そして、こうしたシステムに対応できる人材があらゆる業界で求められていくはずです」
とっかかりとしてプログラミングがオススメ
国、企業、個人それぞれがDX化に柔軟に対応することが重要になってくる中で、「DXに関する知識やスキルを身につけたいけど、具体的にどうしたらいいのかわからない」という人もいるでしょう。最後に、松尾さんはまずはプログラミングに触れてみることを推奨します。
「一般的なプログラミング、Webプログラミング、データ分析のプログラミング、ディープラーニングの学習・推論のプログラミングなどです。本を読んだり講演を聞いたりしてもいいですが、プログラミングを実践せずに概念として理解するだけにとどまってしまう可能性も。『プログラマーになれ』という話ではなく、プログラミングをちょっとでも触ってみると、DXについての発想もグッと広がると思います」
これからはDXに強い人材であるほど、昇進や他業種への転職にも強い時代になっていくのかもしれません。みなさんも、少しずつDXに関する知識やスキルを身につけていってはいかがでしょうか。
<取材・文/bizSPA!取材班>
【松尾 豊】
東京大学大学院工学系研究科教授。1997年、東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年、同大学院博士課程修了。05年8月よりスタンフォード大学客員研究員を経て、07年より、東京大学大学院工学系研究科総合研究機構/知の構造化センター/技術経営戦略学専攻准教授。14年より、現職。専門分野は、人工知能、ウェブマイニング、ビッグデータ分析
Twitter:@ymatsuo