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大企業で相次ぐビル売却。エイベックス、電通、HIS…それぞれの懐事情

ビジネス

 国内の上場企業が本社の土地や建物を売却する動きを加速させています。東京商工リサーチの調査によると、2020年に東証1部、2部企業で国内不動産の売却を発表したのは76社。

 70社を上回ったのは2016年以来で、譲渡益と譲渡損の差額は4106億5200万円となり、過去20年で最大となりました。

電通本社ビル

電通本社ビル cyu_photo

 不動産を売却する理由は大きく3点あります。業績の悪化で傷ついたバランスシートの健全化。キャッシュの枯渇を回避するための流動性確保。リモートワーク推進による不要な不動産の処分です。

 特に2020年以降は本社ビルの売却が目立ちます。エイベックス株式会社は2017年10月に竣工したばかりの本社ビルを売却し、売却額は730億円とみられています。

 株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)も2020年3月に竣工した本社ビルをわずか1年で手放し、売却額は325億円です。

 そして株式会社電通も本社の譲渡を検討しています。本記事は各社の懐事情を見ながら、本社を売却するその背景を考察するものです。

赤字62億円に転落したエイベックス

 新型コロナウイルスで音楽業界は大打撃を受けました。これまでのようにCDが売れなくなり、多くのアーティストがチケットとノベルティグッズの収入が得られるライブ活動に力を入れていました。ファンも非日常的な体験ができるライブへ傾倒するようになっていた折に、コロナが襲来したのです。

 コロナ禍の2021年3月期エイベックスの売上高は前期比39.8%減の815億2700万円。62億7800万円の営業損失(前年同期は40億3300万円の黒字)を計上しました

 エイベックスは売上高全体の80%を音楽事業に依存しています。2021年3月期は主力の音楽事業の売上高が503億4900万円となり、前期比50%近くの減少となってしまったのです。

アミューズは黒字を死守

ライブ

 一方、サザンオールスターズなどを抱える大手芸能事務所のアミューズは営業黒字を死守しました。2021年3月期の売上高に当たる営業収入は前期比32.3%減の398億3900万円、30.7%減となったものの35億7400万円の営業利益を出しました

 アミューズはコンサートや舞台の映像を映画館などに配信するライブ・ビューイング・ジャパンを2019年12月に買収しており、イベント興行の中継や上映収入が増加しました。

 まるでコロナ時代を見越したかのような先手のM&Aにより、黒字化することができたのです。エイベックスは「a-nation online 2020」を開催するなどライブのオンライン化を進めましたが、営業赤字を回避することはできませんでした。

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