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「ガリガリ君」40周年で年4億本。赤字3億円になった味もある“あそび”の裏側

ビジネス

ナポリタン味の失敗で3億円赤字にも

ガリガリ君 ナポリタン味

 またコンポタやナポリタン、梅など、バラエティ豊富な味があります。

「ガリガリ君は1人で食べるご褒美的な存在よりも、学校帰りにコンビニの前で食べた記憶など、複数人でワイワイ楽しむアイス。いわばガリガリ君は『コミュニケーションツール』だと考えています。ガリガリ君の新しい味を見て、買って、食べて、ワクワクし、会話が生まれ、楽しい時間を過ごしてもらえるよう、作り手である我々も熱量がお客様に届くようにワクワクしながら開発に取り組んでおります」

赤城乳業

ガリガリ君 コーンポタージュ

 しかし、なかには失敗して3億円もの赤字を出してしまった味もあるそうです。それは、2014年3月に発売した「ナポリタン味」だと岡本さんは明かします

「コーンポタージュの勢いとナポリタンブームの流れに身を任せ、なぜかナポリタンを忠実にアイスで再現するという間違った方向性で、ピーマンの香りやパスタの食感をゼリーで再現するなどのこだわりを追求した結果、アイスとして美味しいことを忘れてしまいました」

赤城乳業

ガリガリ君 たまご焼き味

赤城乳業

ガリガリ君 温泉まんじゅう味

 しかし、その失敗を、次の商品に活かすことも忘れていません。

「反省を生かすべく、アイスで美味しいこと。これは忘れてはいけないと肝に銘じました。その後、チャレンジしたフレーバーとして、メロンパンや温泉まんじゅう、グリーンスムージーなどありましたが、やはり途中でたまご焼き味を発売してしまうなど、反省を生かしきれないことも稀にございます

オイルショックがガリガリ君を生んだ

赤城乳業

1970年代赤城しぐれ

赤城乳業

現在の赤城しぐれ

 赤城乳業は1961年に創設し、今年で60年を迎えた。ここに至るまではさまざまな苦労や挫折もあったと言います。

「もともとの氷販売で培った冷凍技術を生かしてアイスクリーム販売に取り組み始めましたが、当時は乳製品を手掛けていなかったので、カップ入りかき氷『赤城しぐれ』を発売しました。赤城乳業の看板商品となった赤城しぐれですが、オイルショックのときに30円から50円に値上げしたところ、他社が値上げをしなかったこともあり、売上を落としてピンチになりました

 ピンチになった赤城乳業が、打開策としては1981年に発売したのが、ガリガリ君でした。以来、25年にわたって希望小売価格60円を維持し続けてきました。

「そのため、ガリガリ君の値上げを2016年に行いましたが、他社が2015年に値上げをするまでは耐え続けてきた、という背景がございます。値上げは苦肉の選択でしたが、お客様からの温かいお言葉を多数いただき、感謝の気持ちと誠心誠意、またお客様に楽しんでいただける商品を販売していこうと強く思いました」

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