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原因は「盛り土」以外にも…熱海・土石流の対応が遅れた“本当の理由”

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問われる静岡県の組織体制

防災対策

 それにしても、内部で見解が分かれる発表をした静岡県は、組織体制としてどうなのか。7月3日の記者会見で、川勝平太静岡県知事は「大雨が原因だったということは間違いない」といった趣旨の発言をしていた。一方、この分野の専門的見地を有している難波喬司副知事は「盛り土の工法が不適切との認識を示している」と真逆の指摘をする。

 この検証は行政から切り離した、第三者機関が精査することが重要である。状況が不明瞭な災害直後に、専門家ではない川勝知事がこのような発言をすることに疑問を呈する。これでは県民の安全や安心より、県の保身、責任問題の回避が優先ととられかねない

 今後、復興にボランティアの活動も必須だが、今回の土砂災害はまだ上部に「盛り土」が残っていることと、重機がまだ入れず、手作業でおこなっているので、長期にわたる可能性が高い。日本全体として、この関連した課題に考慮した防災・減災対策が必要だ。

<TEXT/防災・危機管理アドバイザー 古本尚樹>

防災・危機管理アドバイザー、医学博士。専門分野は新型コロナウイルス対策、企業危機管理、災害医療、自然災害における防災対策・被災者の健康問題等。企業や自治体の人材育成にも携わっている。個人サイト「防災・危機管理アドバイザー 古本尚樹

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