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ブラック出版社を辞めて、海外でオンライン硬筆家になった女性が語る「レールのない人生」

学び

1年かけて世界を回った結果…

 フィリピンで英語を習得したあと、1年かけて世界中を回った。

「カンボジアで、あるロシア人と出会ったんですけど。その人は、観光シーズンにカンボジアで観光ガイドをやって、オフシーズンになると家があるウクライナに戻り、“小麦を収穫して売る”生活をしていて。しかも、リッチでちゃんと地に足がついている……。もう、びっくりしました。こんな働き方もあるんだ、こうやって暮らせるんだって

 世界各地を転々とするなかで、出会うすべての人に、「何をしているのか?」「これから、どうするのか?」と質問していったという。

「ひとつの会社で定年まで勤め上げるだけが人生じゃない。その時その時に、自分ができることを探していく。これが“働く”ってことなんだって、色んな人の話を聞いて気づくことができました」

養ってもらう立場がツラすぎて…

オンライン硬筆

タイのアユタヤ遺跡をバイクで走るさとみさん。写真提供:田中さとみ

 その後、さとみさんの通ったフィリピン語学学校から仕事のオファーがあり、フィリピンに戻ることに。そこで1年間働いて、100万円を貯め、今度はバルセロナへ留学。

 世界を旅するなか、自分から4回も求婚してしまうほど素敵だと思えるスペイン人の男性(今の夫)とタイで出会い、遠距離恋愛を経て、結婚した。

「スペインで結婚したのはいいんですけど、また不安になってしまって。その頃は、職がない。スペイン語も話せない。お金もない。友達もいない……で。養ってもらうしかない立場が辛すぎて」

 そこでさとみさんは、お弁当屋さんで働いたり、ブランドのジャケットを検品し発送するバイトをしたり、とにかく仕事にありつきたいと色々挑戦した。そうしたなか、バルセロナの日本人コミュニティがきっかけで、習字を教える仕事が突然舞い込んでくる。2019年のことだ。

「習字は25年間やってきたし、これはいけるかもと思って。急いでIKEAに行き、机を2つ買って、体験レッスンをする生徒さんがくる1時間前に机の足を切り落とし、準備をしました。終わったあとに、『来週も来たい』って言ってもらえて。『あ、わたし習字の先生になるんだ!』って(笑)」

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