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「すかいらーくHD」の業績がやばい。外食の中でも打撃が大きい理由

ビジネス

 コロナ禍によって大きく翻弄されている飲食業界ですが、ワクチンの接種も広まり、客足の回復も期待されています。そんななか、「ガスト」「バーミヤン」などを展開する株式会社すかいらーくホールディングスはかなり厳しい状況のようで、2021年度の業績予想を下方修正する事態になっています。

すかいらーく

画像は公式サイトより

 業績回復を見込む飲食大手も目につきますが、すかいらーくの先行きが怪しい理由はどこにあるのでしょうか。同社の決算資料をもとに原因を紐解いていきます。

2020年度よりも厳しい状況に

 すかいらーくは今年2月発表の2020年12月期決算において、2021年度の成績を売上収益3100億円と発表しましたが、5月に予想値を2850億円に引き下げました。2020年度の売上収益は2884億円であるため、今期はコロナ禍が始まった昨年度よりも厳しくなると同社が判断したことになります

 一方で各社公表の決算短信によると、日本マクドナルドは2021年度売上高を前年比で4%増、すき家のゼンショーは16%増を予想しており、スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIESに至っては22%増を公表しています。

店舗は増えているが営業利益は悪化…

ガスト

 公式サイトによると、すかいらーくは2021年3月末時点で3105店舗を運営。1333店舗のガストを筆頭に339店舗のバーミヤン、272店舗のしゃぶ葉、227店舗のジョナサンが続きます。その他には夢庵や藍屋、ステーキガストなどを展開。ちなみに海外では台湾に63店舗、シンガポールには1店舗進出していますね。

 まずはコロナ以前の業績を見ていきましょう。各年の決算資料によると、2016/12期から2020/12期までの売上収益は、2016年:3545億円3594億円(+1.4%)⇒2017年:3,664億円(+1.9%)⇒3,754億円(+2.5%)の成長が続きました。

 これは事業拡大に伴うもので、店舗数も2016年:3068軒⇒2017年:3145軒⇒2018年:3200軒⇒2019年:3258軒と伸びています。この間は単に店舗数を増やすだけでなく時代に沿った店舗内装の刷新や、藍屋や夢庵の個室化にも取り組んでいます。

 しかし、その一方で利益面は芳しくないようです。2016年度から2019年度にかけて営業利益は312.5億円⇒281.0億円(-10.1%)⇒228.6億円(-18.7%)⇒205.6億円(-10.0%)、当期利益は182.1億円⇒155.5億円(-14.6%)⇒114.4億円(-26.4%)⇒94.9億円(-17.1%)と減益が続きました。

 同社は配送費や原価の削減など低コスト化には努めてきたようですが、最低賃金上昇や正社員給料のベースアップなど人件費の上昇が大きく影響し利益が圧迫されたようです。人口減少によって以前のような賃金ではアルバイトが集まらないという事情もあります。

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