インスタで15万人が共感、心理カウンセラーが教える「感情を上手く吐き出すコツ」
人は変化することが困難な生き物
――最新刊『しんどい心にさようなら』(KADOKAWA)では心のありかたや考え方がわかりやすく説明されていて、とても丁寧で読みやすい印象を受けました。
きい:ありがとうございます。この本を読んでくれる人をイメージしたとき、心が疲れている方に手にとっていただくことが多いだろうなと思ったんです。
だから、テーマごとに重要なところを太字にしたり、イラストの4コマで説明したり、関連しているかもしれない他の悩みのページ番号を載せいたりして、疲れた心の状態でも読むことが億劫にならないように、読みやすさを一番大切にして作りました。
――「こうすべきだ」という明確で強いアドバイスではなく、「こうしたらいいかもしれないけれど、一緒にやってみる?」というような、寄り添って考えてくれるような優しさも感じました。
きい:そこも大切にしたポイントなので、そう思っていただけて嬉しいです! 自分に自信がなかったり、自己否定ベースで考えたりしてしまう人に、「変わること」を前面に押し出して何かを伝えてしまうと、「変わらなければいけない」「今の自分と、これまでの自分は一体なんだったんだろう」と苦しくなってしまうと思うんです。
人それぞれが「自分なりに頑張ってきた」のは事実で、それは素晴らしいことだし、その人が大切にしてきたものがそこにはあります。だから「こうしたらいいよ、よくなるよ」ということを伝えつつも「共感的に関わること」を前提にしています。
自分をわかってもらえないと人は変化することが困難な生き物です。読んでくれる人の否定的な内面がやわらぐように、編集さんとも話し合いを重ね、難しくせず読みやすく、相手が受け取れることに意識を向けていきました。
「手当て」と「ひとりグループライン」
――著書の中で心を落ち着ける手段として紹介されている「手当て」ですが、自分でも不安でを感じたときに、実際にやってみたら効果があって驚きました。
きい:「手当て」は自分が触って心地いいところに手を当てて、さすったり、心音ペースでとんとんとやわらかくたたいたりする外部からの身体的なアプローチです。本の中ではわかりやすさを大切にするため専門用語はなるべく使わないようにしていますが「手当て」は「アンカリング」といいます。自分自身の体に落ち着く場所を見つけて、決まった部分を安心や精神的調整のスイッチにして触れることで気持ちを切り替える、というものですね。
――この「手当て」のように、気持ちを切り替えたいときに外部からできる具体的なアプローチというものは他にもあるのでしょうか?
きい:おすすめしているのは「ひとりグループライン」です。自分だけのグループラインを作り、そこに思ったことを書いたり、そのときの感情に合うスタンプを連打したりします。既読はつかないですが、感情を吐き出すことができる手軽な方法なので、気持ちを落ち着けるのに役立ちますよ。