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つい他人任せに…会社の新規事業立ち上げで陥りがちな「7つの大罪」

学び

第7の大罪:自問なき他答

 最後に、新規事業に限らず、ビジネスの成功において大事なことは「他人の答えに頼らずに、自ら問い、自ら答え、自らおこなう」ということだ。あなた自身で考えることを欠かさないでほしいのだ。「Aだ」というと、「では、Bではないのですね」といわれることがある。

 可能な限りシンプルにしたから「Aだ」といっているのであり、より複雑に話せば、「状況によってはBであり、別の要素が加わればCかもしれず、そしてCにも3つのパターンがあり、C1、C2、C3とある。かつ、そのどれでもないこともある」というようなことさえある。

 大事な部分を抜き出してシンプルに「Aだ」と言い切っていることを理解してほしい。「ヒトの経験談、他者から借りてきた小理屈」を、「深い思考とセットにせずに、うわべを単純参照する」ことは、決してしてはいけない

 それは、悪手中の悪手だ。「自問なき他答」では、あまりにも学びが少ない。そして、応用が利かない。

 あなたの事業は、あなたにしか、判断できない。あなたの新しい一歩は、あなたにしか、踏み出せない。他人の答えに頼らずに、自ら問い、自ら答え、自らおこなってほしい

失敗はしておくべきだが…

起業は意志が10割

『起業は意志が10割 』(講談社、守屋実)

 さて、ここまで7つの大罪について語っておきながら何なのだが、私が伝えたいのは、「失敗はじゃんじゃんしたほうがいい!」ということでもある。1度や2度の失敗に落ち込んでいるくらいなら、躊躇せずに突き進んでいったほうが、成功が100倍速くて近くなる

 ただし、この時に、大事なことがある。致命傷を負う失敗、引き返しようのないところまで進んでの失敗は避けるということだ。先ほど、「失敗はじゃんじゃんしたほうがいい」と書いた。

 それは失敗しても再び次のチャレンジに臨むことができるからである。だから、一か八かの一発勝負に度胸だけで際限なく突っ込んで再起不能になることは避けなければいけない。

最初に失敗のラインを引く重要性

 つまり、最初に「ここまでなら大丈夫」という失敗のラインを引いておくことが生存戦略においてめちゃくちゃ大切だということである。

 この言葉だけを読むと、反論したい気持ちになる人もいるかもしれない。「安全圏を確保するのではなく、全力で勝負すべきではないか」と。その通りだ。まったくもって、反論するつもりはない。むしろ、そうするべきだ。そのための失敗のラインなのだ。

 どういうことかというと、「ここまでなら大丈夫」と肚を括っているから、全力で突っ込むことができるわけである。このままで大丈夫かな、マズいかな……と少しでも心がグラつき始めたら、推進力は驚くほど落ちてしまう。

 そんなことがないように、走り出したら最後まで無我夢中で走り切るために、失敗のラインを引いておくのだ。守りのためのラインではなく、攻めのためのラインだ。大丈夫。肚の据わった挑戦の先には、必ず成功が待っている。

<TEXT/守屋実事務所代表 守屋実>

1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、新市場開発室でメディカル事業の立上げに従事。2010年に守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動

起業は意志が10割

起業は意志が10割

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