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ディズニーとも喧嘩するNetflix。常識をブッ壊して急成長する最強の戦い方

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「暗黙の了解」を無視するNetflix

 映画・ドラマ業界を驚かせたのが、デヴィッド・フィンチャーを口説き落とし、本当の意味でオリジナル作品となる『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を制作することにも成功したことである。

 ここでケンカを売ることになったのが、ケーブルテレビ局。あくまで既存の作品の受け皿としての存在と認識していたケーブル局にとって、動画配信サービスは共存相手であっても、そこまで脅威ではなかった。オリジナル作品を制作できるのは、ケーブル局の強みだと思っていたからである。

 Netflix以外にも動画配信サービスはいくつか存在していたが、他社もテレビや映画業界は共存相手であるとして、それぞれのフィールドには足を突っ込まないという、ある程度の暗黙の了解があったのだ。しかし、業界の古臭いルールに左右されない、ドライでビジネス的な考えのNetflixだからこそと言うべきなのか、平気で別のフィールドに足を突っ込んできた

ディズニーと業務提携していたが…

Netflix

画像はイメージです

 いくらドライなNetflixも下手に足を突っ込むと潰されてしまう怖い存在があった。それこそがディズニーだ。それではなぜNetflixがディズニーにケンカを売っているのだろうか……。それは2017年の出来事が関係している。

 日本においては、この業務提携は有効ではなかったため、実感がないかもしれないが、実は2018年までディズニーとNetflixは業務提携関係にあり、一部の国のNetflixでディズニー作品の視聴が可能だったのだ

 Netflixはオリジナル作品を制作するにあたって、自社の弱点も把握していた。それはキッズ、ティーン、ファミリー向け作品だ。生まれたときからインターネットが当たり前なものとして育ってきたデジタルネイティブ層も取り込むには、決して無視することはできないジャンル。そこでそれらのジャンルが一番得意ともいえるディズニーと業務提携することによって、弱点を補っていたのだ。

 2017年ディズニーが2018年の契約満了を期にNetflixとの業務提携を解消し、2019年に独自の動画配信サービス「Disney+」をスタートさせることを発表したことから、2社の関係性は非常に険悪な状態である。さらに業務提携解消を発表した同年に、FOXの買収を発表、Netflixはディズニー作品と共にFOX作品を失うこととなった。

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