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元 Jリーガーの人気YouTuber。炎上しかけても「批判の声はあまり気にしない」

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浦和レッズで知った「プロスポーツの本質」

那須大亮さん

「どちらにもメリットがあるので、その二択に正解はないと思います。ただ、その競技がどうしてプロスポーツとして成り立ち、誰に支えられて自分がプロとして活動できているのかといった『プロスポーツの本質』は、早めに知っておくべきですね。

 私はそれを現役時代に知ったおかげで、YouTuberとしてサッカーを支える『サポーター』に向けた情報の発信に興味を持てました

 もちろん、チームに雇われていて、プレーを楽しみにしてくれるサポーターがいますから、選手として競技に全力を尽くすべきだとは思います。でも、次を見据えて学ぶ時間はあるはずです」

 那須さんが現役時代に「プロスポーツの本質」に気づくキッカケとなったのは、2013年のJ1クラブ・浦和レッズへの入団だ

「浦和は強豪チームで、なによりファンが熱いんですよ。だから浦和の街にいるとよく声をかけられるんですが、サポーターが『一緒に戦おう!』って言ってくれるんです。ほかのチームでは『週末頑張って!』という声のかけられ方をするので、そこで『そうか、サポーターも一緒に戦う仲間なんだ』と気づきました」

 サポーターや裏方のスタッフ、スポンサーなど、「多くの人とともに戦っている」と気づいた那須さん。自分本位な生き方はできないと考えるようになり、それがYouTubeを通じて多くの人へ語りかけるスタイルへとつながった。

「痛み」が人間力を上げる鍵

 那須さんには、動画を通じて視聴者に伝えていきたいことがある。

「私は、とにかくより良い動画を視聴者の皆さんに提供していきます。皆さんには動画を通じてサッカーに興味を持ってもらうのはもちろん、『サッカーにかかわる人たちはみんな仲間だ』と思い、その意識で選手やチームを応援するようになってほしいですね」

 最後に、先駆者のいない困難な道を歩み、”サッカーYouTuber”という新たなジャンルを確立させた那須さんに、若手ビジネスマンへのメッセージを語ってもらった。

「皆さんにはそれぞれの目標があり、価値観があると思います。しかし、どんなビジネスにもサッカーにも通じる大切なものは『人間力』。スキルを学ぶのはもちろん、最後は人としての資質が大切になります。

 そして、この力が伸びるのは『何かがうまくいかないとき』。私はよく『痛みを拾いに行く』と言いますが、この辛い状況でどうアクションを起こすかが重要です。辛くて痛いので、決していい時間ではありません。でも、その経験をどう学びに変えるかが、その後を左右するのではないでしょうか

<取材・文/齊藤颯人>

【那須大亮】
1981年、鹿児島県生まれ。2002年、駒澤大学3年時に、大学生Jリーガーとして横浜F・マリノスに加入。2004年にはアテネオ五輪にも出場。東京ヴェルディ、浦和レッズ、ヴィッセル神戸などで活躍。現役時代から「那須大亮公式チャンネル」を開設。2019年12月の現役引退後からは専業YouTuberとして活躍
Twitter:@nasudaisuke02

上智大学出身の新卒フリーライター・サイト運営者。専攻の歴史系記事を中心に、スポーツ・旅・若手フリーランス論などの分野で執筆中。Twitter:@tojin_0115

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