「7000万円のマンションを買いたい20代夫婦」への世間の反応に思うこと
不動産は状況によっては売却してもよい
ネットで「リモートで郊外に移住する人が多くなる、都心のマンションの価値はなくなる」という記事も散見されますが、2020年5月末の緊急事態宣言解除後から半年間で住宅価格が上がった場所は、お求めやすい首都圏郊外のマンションではなく、都心と一部の近郊、東京湾岸エリア、そして郊外でも都市圏が確立されていて利便性の高い場所に立つ一部の物件でした。価格が上がるということは、供給より需要が旺盛ということを意味しています。
コロナくらいの社会的インパクトがある事件のあとでもこうした状況ですので、2010年代のトレンドはさほど変わっていないのが現状です。もし何らかの原因で生活が立ち行かなくなった場合も、RVが望め、かつ流動性(売りに出したら買い手が付きやすい)が保たれる物件を選定しておけば、リスクは限定されます。
そう、もし離婚や失職などのイベントがあるなら、物件を手放せばいいのです。
買ったら即価値が消えるわけではない
35年固定1.4%、7000万円フルローンで借りた場合、毎月21万円の支払いとなりますが、3年間で500万円、6年間で1000万円残債が減ります(なおリスク保有の覚悟をして変動金利0.5%で借りれば、毎月の支払いは3万円下がった上に、残債が1000万円減少するのに5年3か月となります)。
賃貸に住みながら頭金が十分に貯まるまで数年間待ち、年齢を重ねてから住宅ローンを組むことを考えるなら、若いうちに住宅ローンを組んでしまうのはむしろリスクヘッジになります。
会計の基礎がわかる人はバランスシートで考えれば楽に理解できるでしょう。流動性があるマンションの購入は、買ったら即価値が消えるような耐久消費財ではなく、固定資産とみなすことができます。
バランスシートの左側に固定資産であるマンションが、右側に負債である住宅ローンが配置されます。固定資産の目減りより、負債を返すスピードが早ければ、家計としては健全さを保てるのです。