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「7000万円のマンションを買いたい20代夫婦」への世間の反応に思うこと

コラム

確定していない未来におびえていたら何もできない

 前回寄せられた反響では、さまざまなリスクについて語り、「だから20代夫婦が7000万円の物件を買うのは危うい」と指摘する人がたくさんいました。「離婚リスク」「収入が全く伸びないリスク」「奥さんが離職するリスク」、挙句の果てには「健康に問題を抱えた子どもが生まれるリスク」を指摘した投稿まで……少しみなさん悲観論過ぎませんか? 実際そのリスクは何%程度発生しますか?

 私も驚いたのですが、最近の20代共働き正社員夫婦の多くは「子どもが産まれたから、妻は辞めてパートor専業主婦にする」という選択をほぼ考えていません。先輩ママ社員たちをロールモデルにし、子育てしながら正社員で働き続けることを希望しています。

 この流れは国も後押ししています。高齢化により生産年齢人口が少なくなるなかで、フルタイムもしくは時短で正社員として働く女性は歓迎されています。女性管理職比率を大幅に引き上げることも政府目標にされていますし、まだ若い彼女たちはこれからの日本社会の担い手なのです。

 リスクに怯えて、保守的な選択しかできなくなっているのが日本の現状ではないでしょうか。勤務先の収入が伸び悩むのであれば、能力があれば転職も可能です。万が一、収入が絶たれても、ある程度の貯金があれば立て直すこともできますし、RVが出ているなら売却して賃貸に戻る選択肢もあります。

子育て共働き世帯に「職場から片道1時間」はムリ

夫婦 お金の話

 住宅ローン破綻のリスクを指摘した投稿もありました。実際の破綻率を調べると、平成29(2017)年度の「フラット35」において「破綻先債権」「延滞債権」「3か月以上延滞債権」の合計額は、総貸出残高に対して0.43%と発表されています。(※住宅金融支援機構・フラット35利用者調査より

 住宅ローンの延滞発生から債権回収完了(つまり競売や任意売却)まで1年以内に終了することは稀です。実際の累積破綻率を考えると、もう少し低く見積もっていいはずです。この確率に怯えて住宅購入をしない人もいるでしょうが、購入に踏み切ることに過度に敏感になる必要はないと考えます。

「7000万円のマンション購入なんて危険だ、3000万円にしておいたほうが良い」。こういうご意見も寄せられました。しかし考えてみてください。東京に親族がいない状態で、子育てしながら都心に通う正社員共働き夫婦が成立することができる住まいの場所はどこでしょうか?

 職場からの距離は非常に重要な要素となります。小さい頃は子どもの体調は変わりやすいですから、保育園の送り迎えを考えると、片道1時間、電車に揺られる通勤エリアの住まいは、不可能なのです。そして、職場へのドアtoドア時間を重視するとなると、選択肢はかなり限られます。3000万円という予算では家族が住めるような大きさの部屋を購入することは不可能です。

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