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シックスパッドのMTGがコロナ禍で「ホームフィットネスに注力」の背景

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100回以上の失敗からようやく試作品が完成

 森谷氏を口説くことに成功したのも束の間、ここからさらに苦労を要することになる。長年の研究から、しっかりと筋肉を収縮し弛緩させ、継続的に効率的なトレーニングができるベストな周波数が20Hz(1秒間に20回刺激がくる)である一方、当時のEMS商品には20Hzよりも高い周波数のものが多かった。

 これは、高い周波数のほうが電気刺激を筋肉に加えた時の“チクチクした痛み”を感じにくくなるため、商品化しやすいからだ。

 しかし、この20Hzを採用するためには、皮膚の表面にチクチクとした痛みを軽減させないといけない。まさに前例のない商品開発は何百パターンもの検証や試行錯誤を繰り返したと熊崎氏は振り返る

「現在のSIXPADになるまで試作品は100機以上作りましたね(笑)。低い周波数で電気を身体に流すと、人体への電気抵抗が大きくなるため、どうしても皮膚の表面に痛みが発生してしまう。この痛みを限りなく軽減させるのに苦労しました」

SIXPAD

SIXPADの共同開発者でもあるクリスティアーノ・ロナウド

 何度も改良を重ね、ようやくSIXPADの試作品の完成までこぎつけることに成功した。だが、本物のEMSを追求する姿勢は試作品が完成してからも続く。SIXPADのブランド力に大きく寄与したのは世界的プロフットボール選手のクリスティアーノ・ロナウドの存在は外せないだろう。彼もまた開発に携わっているのだ。

ロナウドが共同開発に携わった背景

「代表の松下(剛 株式会社MTG代表取締役)が、ロナウドの自宅に行き、SIXPADの試作を試してもらったところ、腹直筋の動きでわかるんですね、『これは本物だね』と太鼓判を押してもらったんです。ただ、ロナウドもトップアスリートなので、プロの視点からトレーニングのメソッドについてアドバイスをもらいました。これが起点となって、当初は20分のトレーニングプログラムだったのを23分のトレーニングプログラムに設計し直したんです。よくロナウドはCMキャラクターに起用しただけと思われているんですが、実はSIXPADの共同開発者の一人なんですね

SIXPAD

SIXPAD独自のコアテクノロジー「CMM Pulse」

 EMSの世界的権威、世界No.1フットボーラーの独自トレーニングメソッド、そしてMTG社のブランド開発力。この三者のシナジーから生まれたのがSIXPAD独自のコアテクノロジー「CMM Pulse」だ。

「鍛える、休ませる、そしてまた鍛える」のサイクルを取り入れた23分のオートプログラムは、効率よく筋肉が鍛えられるように設計されている。

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