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上半期No.1ブレイク・志尊淳「代わりなんていくらでもいる」と言われた過去

暮らし

――舞台にはこれまでにも数多く立たれてきたかと思いますが、『春のめざめ』ではどこが違ったのでしょうか?

志尊:これまではミュージカル作品で、『春のめざめ』はストレートプレイだったんです。等身大の役柄を、今までとは違うアプローチで。(演出の)白井晃さんには、すごく追い込んでいただきましたね(笑)。

――追い込むというのはたとえばどんな。

志尊:本番前日に、「これじゃ幕を上げられないから、中止だ」とまで言われました(苦笑)。

――すごいですね。相当追い込まれました?

志尊:おそらく大したことではないと思います。でも自分にとっては、かなり追い込まれましたね。幕が上がったときは必死でした。最後までとにかく、ただただ必死で。

 だから終わってすぐに、何か変わったことはありますか?と聞かれても、何もありませんという状態でした。でも1年経った今、感覚的な問題ですが、“感情を開く”という部分ですごく勉強になっているなと感じます。

――深いところまで開けるようになった。

志尊:そうですね。でももちろん『春のめざめ』だけではありません。そのあとにやった「植木等とのぼせもん」というドラマもそうでしたし、いろいろな積み重ねです。ただ、大きく変化したのは『春のめざめ』かなと思います。

かっこ悪くても、やったことは自分に返ってくる

劇場版 ドルメンX

(C) 高木ユーナ/小学館 (C) 2018「劇場版 ドルメンX」製作委員会

――役者という仕事が自分の道だと感じられるようになったのは、いつ頃ですか?

志尊:今も感じてません。自分の道だとは。

――そうなんですか!?

志尊:天職だとか、自分の道だとは思っていません。ただ毎回、自分なりにがむしゃらにはやっています。需要があってこそ成立する仕事なので、辞めろと言われたら分かりましたと、いつでも言えるくらいの気持ちでやっています。

――分かりましたと言えるのは、逆に、全力でやっているからこそということですね。

志尊:いつも自分のやれる力はすべて出しています。この仕事を始めて7年になります。いろんなチャンスをいただいてやってきて、そのうえで辞めろと言われたら、自分自身が切り開けなかった結果だと思うので。自分の道だとはとても言えません。僕はとにかくがむしゃらにやるだけです。

志尊淳

志尊淳さん

――最後に20代に向けたメッセージをお願いします。

志尊:恥を捨ててがむしゃらにやる姿を見ていただきたいです。それが、どんなにかっこ悪い姿だったとしても、自分がやったことというのは、自分に返ってくる、ちゃんと付いてくるものだと思うんです。あとは恥をさらせるかどうか。

 僕も「お前のことなんて誰も見ていない。代わりなんていくらでもいる」と何度も言われました。だったら逆に、かっこ悪くても、自分の出せるすべての力を出したほうがいいと思ったんです。

 全力でやりきって、ダメだったら、またそこで考えればいい。周りの目を気にせず、やることが大切だと僕は思うし、この作品からも感じることができると思います。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

『ドルメンX』は全国公開中
(C) 高木ユーナ/小学館 (C) 2018「劇場版 ドルメンX」製作委員会
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異
Twitter:@mochi_fumi

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