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KDDIは“地味”でも携帯業界2位を堅守。驚きの高年収と働きやすさは

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有価証券報告書からみえる現場の状況

有価証券

 では、現場の雰囲気や働きやすさはどのようになっているのでしょうか。今回は有価証券報告書・公式サイトの情報・ニュースなどからその姿に迫っていければと思います。

 給与水準については有価証券報告書に記載されています。KDDIの平均の年間給与は930万円でした(2020年3月31日現在)。この値は1万892名の従業員(平均年齢42.8歳)を対象にした値であり、社員の給与水準は高いと言って差し支えないでしょう。

 2017年1月から働き方改革にも取り組んでおり、テレワーク・フレックスタイム制度も導入されています。また、現時点では「努力義務」扱いである勤務間インターバル制度(勤務と勤務の間に一定時間以上の休息時間を設け、深夜シフト主体や、不規則な勤務形態でもワークライフバランスを確保できるようにした仕組み)を導入し、働きやすさへの配慮が進んでいるようです。

 また、退職者の再雇用制度も外部に公開できる形で制度化されており、かなり手厚い待遇と思われます。

過去の不祥事や労働関連の課題は

 続いて、過去の判例や不祥事についても調べてみました。KDDIは歴史が長い企業だけあって、すべてを紹介できない分量でしたので、労働関連の話題に絞ってご紹介します。

 まず、直近のものとしては下記2件が挙げられます。2件とも、2019年3月にKDDIが公表した「働き方改革の実行と健康経営の推進について」の冒頭に記されています。

・2015年9月:入社2年目の社員が自殺。長時間労働だったとして、2018年5月に労災認定された
・2017年9月:自殺を受けて、労基署から是正勧告を受ける。社内調査の結果、4613名の従業員への未払賃金(サービス残業)6.7億円が発覚。支払いへ

 現在の「働き改革」の各種施策は、上記の“事件”を受けての改革だと見てよいでしょう。また「働き方改革」については今年7月に職務領域を明確化した「ジョブ型雇用制度」や在宅勤務と出社のハイブリッド対応を行う旨を発表しており、付け焼刃対応ではなく、改善を継続する意思がみられました。

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