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「20代は視座を10倍高く」不動産ポータルLIFULL社長の働き方

ビジネス

広告量では劣るが、プロダクト開発では負けない

 井上社長は、1997年に不動産・住宅情報サイトのHOME’S(現 LIFULL HOME’S)を開始。以来、計画的な赤字決算で期を終えた時以外は、常に増収を続けるまでに事業は成長した。だが、不動産ポータルサイトは多くの競合が存在する。他社にはない強みについて井上社長はこう話す。

「掲載物件数No.1の座は明け渡しましたが、社員全員がユーザーのことを真剣に考えてプロダクト開発している点は強みとして挙げられます。住まい探しの多様なニーズに応えるため、社員一丸となってプロダクトを良くしようと同じ方向を見ています。開発組織も内製化しているので、想いがブレることなく取り組めていると感じています」

 他方、広告の物量については正直敵わない部分もあると吐露する。

競合のサービスはCMを絶え間なくやっていますが、さすがにうちと比べて広告予算が断然に違うので、認知度という観点で見れば劣ってしまいますよね。ブランディングやプロモーションは、その都度チューニングしていこうと考えてはいますが、最も注力するのはユーザー体験の刷新です。劇的な変化あってこそ、本当にユーザーに求められるプロダクトになると思っています」

住生活関連から異業種にも参入

ライフル

花の定期便サービス「LIFULL FLOWER(ライフルフラワー)」は、社内の新規事業提案制度から誕生した

 2017年に社名を「ネクスト」から「LIFULL(ライフル)」に変更。「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージを掲げ、不動産以外にも介護や地方創生、引越し、フラワーのECなど異業種へ事業を広げている。

「最初は住生活関連から事業を広げていきました。現在、国内外合わせると全部で18のサービスを展開しています。不便は便利に、不安は安心に、不満は満足にといったように。人が生きる上での『安心』『喜び』『幸せ』を届けられるように事業展開しています」

 こいった考えに立つ根底には、創業当初から大事にしてきた“利他主義”という理念経営にある。「世のため、人のためになるように社会貢献する利他の心」という精神だ。

「現在、日本と海外で20数社の子会社を見ていますが、利他主義を貫くことは徹底して行なっている。世界中に笑顔や幸せをたくさん届け、『ありがとう』と言われるような仕事をすること。うちでは“公益志本主義経営”と呼んでいて、国内外全ての従業員に対して意識するよう伝えています」

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