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なぜ34年も売れ続けるのか。野球ゲーム「ファミスタ」開発秘話

ビジネス

 バンダイナムコエンターテインメントが1986年に発売した「ファミスタ シリーズ」は、野球ゲームソフトの人気に火をつけたゲーム作品だ。日本プロ野球界の選手データをもとに、本場のペナントレースさながらのプレイを楽しめる。

 同作品のゲームプロデューサーである株式会社バンダイナムコエンターテインメントの森口拓真氏に、野球ゲームの定番として親しまれている理由やファミスタの魅力について話を聞いた。

ファミスタ

ファミスタのゲームプロデューサーである森口拓真氏

野球好きが転じてプロデューサーに

 森口氏は2014年よりゲームプロデューサー職に従事し、9月17日に発売された「プロ野球 ファミスタ2020(以下、ファミスタ2020)」で通算4作目のリリースに携わっている。

「高校まで野球をしていたのですが、小さい頃にファミスタをプレイしていたことで、野球って面白いと思えた。入社してからはモバイルコンテンツの開発や営業をしていましたが、ある時、『ファミスタを復活させる』という機運が社内で高まり、上司から『森口って昔、野球やっていたよな』と指名を受けたのがきっかけでした」

 野球好きが転じて、ファミスタのプロデューサーとしてゲーム開発に関わるようになった森口氏。ファミスタが長年親しまれている理由を「初代から操作方法を変えていないのが大きな特徴」と説明する

「ファミコンが家庭用ゲーム機として普及した頃に、初代のファミスタが発売されていますが、当時のコントローラの操作方法と根本的には全く変わってないんです。なので、どのシリーズからやっても、同じプレイ感を楽しめる。操作方法を継承することで『誰でも簡単に野球ゲームを楽しめる』工夫をしてきたことが、長寿ゲームになった理由だと思います」

「変えるか否か」の見極めを意識している

ファミスタ

左は9月17日に発売された「プロ野球 ファミスタ2020」。右はファミスタおなじみの「ファミスタくん」を冠した特注グローブ

 また、ゲームを開発する上で「変えてはいけないところ」と「変えていいところ」を見極めているという。

「ファミスタって『野球ゲームの草分け的存在』みたいなイメージがあり、レトロ感ある雰囲気が往年の特徴でした。ただ、ずっとレトロなドット絵でいいかというと、やっぱりプレイしていて“気持ちよさ”や“見栄え”の部分も進化させないと、ユーザーニーズの変化に応えられない。今では画面上で臨場感を出せるようにしています。

 例えば、バッター後方から見下ろした視点のほか、バッターの目線の角度からピッチャーが投げた球を追えるようにできるカメラ視点も設定できます。あくまで操作感を邪魔しない程度に、野球ゲームならではの没入感を演出できるよう工夫していますね」

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