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なぜ34年も売れ続けるのか。野球ゲーム「ファミスタ」開発秘話

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「野球の多様性」を伝えたい

「『ホームランは野球の華』と言われるように、野球をやるからには『気持ちよくホームランを打ててなんぼ』という心情を、ユーザーは持っています。ファミスタは、他社製品と違って、バッターがピッチャーの投じた球にカーソルを合わせる必要がない。タイミングさえ合えば簡単に打ち返せるので楽しくプレイできるんです。もちろんバッターだけが優位にならないよう、ピッチャー側も“必殺の魔球”を2つ設定できるんですけどね(笑)」

『ファミスタ2020』の見どころについては「プロ野球の球団ではなく、さまざまな団体から選手を選べて、総登録選手は1000人以上を超えるところ」と強調する。

「野球ゲームはとかく、NPBのプロ野球12球団が主流と思われがちですが、“セミプロ”の野球リーグもたくさんあって、本作ではその多様性を伝えたかった。地方の独立チームや大学野球、女子野球、ソフトボールチーム、はたまた球団マスコットからなるオリジナルチームを編成できます(笑)。また、エディットモードでは外見やフォームを自由に変えられるので、自分が4番バッターになることもできます」

ファミスタ完全復活を目指す

ファミスタ

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 最後に今後のゲーム開発の展望について森口氏は「ファミスタを完全復活させたい」と意気込みを語った。

「ファミスタは知名度があるけれど、昔のゲームというイメージがある。シリーズで出しているとはいえ、まだまだ不動の野球アクションゲームとして昇華できるはずだと思っています。来年迎える35周年を機に、40周年でファミスタはどういうゲームになっていればいいかという目標から逆算し、ユーザーに愛されるゲーム制作をしていきたいですね

 話題の新ハードやスマホゲームなど、それぞれのユーザー属性に合わせた展開も視野に入れながら、ファミスタを普及させていきたいのだという。

「ゲーム作りにはアイディア先行型とマーケティング型があります。ファミスタは、後者のスタイルでアンケートやターゲットユーザーを分析し、マーケティングをしっかりした上で、ゲームの企画・開発に入る。幸い、少数精鋭でやらせてもらっていて、製販一体のチーム体制が取りやすいので、時代に沿ったゲームが作れるように尽力していきたいです」

 さながら、野球中継を見ているような臨場感を楽しめる野球ゲーム。ファミスタは今後どのような面白いゲームになっていくのか、発展に期待したい。

<取材・文・撮影/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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