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モラハラ父親の会社に就職した20代職人の「学歴コンプレックス」

学び

専門学校は皆勤賞で卒業

「最初は光の三原色といったグラフィック理論や、2Dの動画編集を学びました。そこで、『自分の知らない分野を学ぶ楽しさ』に気づいたんです。学べば学ぶほどこの分野が好きになっていって、学校外でもCG極めたいと思うようになりました。そこで学校と同じように作業ができる20万のPCを買い、CGソフトも導入しました」

建築系

自主制作した映像作品

「結局、2年間通った専門学校は皆勤賞で卒業しました。授業では毎回1番前の席に座り、分からないことは何でも質問しました。『もっと話を聞きたい』という一心で、毎週のように先生を飲み会に誘っていたのも懐かしいですね」

 専門学校には「とりあえず入っておこう」という学生も一部いるなか、仕事と学業を両立してこれだけ積極的に学習しようという生徒を見れば、先生も心を動かされないはずはなかった。

「先生から『山口くんは技術だけじゃなく、何より意欲とコミュニケーション力が素晴らしい。もし今後も映像制作を生業にするつもりがあるなら、就職先は紹介できる』と言われました。もちろん嬉しかったし、やってみたかったのですが、親父のことや全く新しい道に進む怖さもあり、その時は断ったんです」

卒業旅行でのフェードアウトを計画

建築系

建築系で「墨出し」の仕事を行う、山口祐樹さん(仮名・24歳)

 しかし、同期の卒業生たちが有名アニメの制作や大手ゲーム会社への就職を果たし、「オレもやれるんじゃないか」と思いが再燃した山口さん。卒業後、ふたたび先生と会い、「もし1年くらい実務経験を積んだら、大手テレビ局に口利きをする」という約束を取り付けたという。

 山口さんは先生の言葉を信じて今の仕事を辞め、新たな業界へ進む決意をした。

 仕事を辞める決心をしたとはいえ、実の父親に仕事を辞めるとは言いだしづらかった山口さん。そこで、専門学校の友人たちに誘われた長期の卒業旅行をキッカケに、仕事をフェードアウトしようと考えた。

「友人たちがすべてプランを組んでくれるというので、3か月間メキシコとキューバに出かけました。幸い貯金もあり、そのまま会社を辞めるつもりだったんです」

「せっかくの卒業旅行」と考え、豪勢な旅のプランを思い描いていた。しかし、旅行中に衝撃の事実が判明する。

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