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吉村知事の発言はまずいが…「うがい薬」に期待できる“意外な効果”

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 東京など大都市圏を中心に新型コロナウイルスの感染者が再び増えている。その最中、大阪府の吉村洋文知事が8月4日に行った会見内での発言が波紋を呼んでいる。

うがい薬

※イメージです(以下同じ)

「うがい薬を使ってうがいをすることによって、コロナの患者さん、コロナがある意味減っていく」という発言に対し、専門家や医師会から「あまりにも無責任な発言」と批判も出ている。吉村氏自身も早々とSNSで「うがい薬でコロナ予防効果が認められるものではありません」と弁明したが、改めてどこに問題があったのか?

 金沢大学医学部で感染制御学を研究し、歯科医師/口腔外科評論家で「口腔ケア」第一人者の宮本日出氏幸町歯科口腔外科医院 院長)に聞いた。

イソジンでPCR検査の陽性率が下がるカラクリ

 吉村氏の発言は「ポビドンヨード(イソジン)」のうがい薬で新型コロナの陽性率が下がったというものだが、本当に下がるのだろうか。

 宮本氏は「WHOの見解では、いかなる薬剤を用いても、うがいでは感染を防げないとあります」とし、次のように語る。

「唾液摂取のPCR検査をする場合は、採取する1時間前から飲食、うがいは控えるようにという指標があります。なぜなら検査結果が正しく得られないから。つまりイソジンなどのうがい薬を使えば、口の中が洗浄されるため、唾液を用いたPCR検査の陽性率は下がります。しかし当然ながら他の場所、例えば鼻咽腔を用いたPCR検査の結果は変わらないでしょう」

 つまり、うがい薬を使ってもコロナ患者が減る、予防になるとはとても言えない。そればかりか、PCR検査の陽性を回避するための手段になりかねないのだ。

「吉村知事は大きな誤解を招いた」

吉村洋文

吉村洋文大阪府知事

 また、吉村知事が会見で引用した研究データに対しては、きっぱり否定。

「実際にデータを見ましたが、研究というにはお粗末なものでした。年齢が高ければ、持病があれば、コロナ患者は重症化しやすくなります。しかし、吉村知事が使った研究データは内訳が不明で、仮説にすぎず、有意差検定もされていなかった。

 本来であれば丁寧に理論を立てていくところを、そのまま治療と言ってしまったのは大きな誤解を招くと思います。そもそも予防薬と治療薬は、根本的に異なります。今回の対象41人はコロナ患者であり、もしイソジンでのうがいが効果があったとしても、予防薬とは言えない

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