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歯磨きで出血した…コロナで歯医者に行かない“重症の虫歯”が急増中

暮らし

 2020年4月の第1回の緊急事態宣言時には、未知の新型コロナウイルスの感染を防ぐために、歯科医院の受診を控えた人も少なくなく、そのため虫歯が重症化して「コロナ虫歯」現象が起こりました。今でもその延長で、痛くないからと歯医者の通院を再開していない人もいます。

歯医者

※画像はイメージです

 整形外科のような医療機関は、症状が出てから受診することが多いでしょうが、歯科医院はそうではありません。歯科医療とは症状がある際の「治療」と、症状がない際の「予防」を行う「二刀流医療」なのです。

 今回は令和の常識である“予防歯科”の重要性について、TVやラジオなどで活躍中の歯科医師・宮本日出氏に解説してもらいます。かかりつけ歯科医を持っていない方は必見です。

コロナで歯が危ない「歯肉炎の患者」増加

 日本人約2.5万人を対象にして2021年4月に発表された調査(東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科)では、コロナの影響で経済状況が悪化した人には歯痛を訴える人が多いことがわかりました。経済状況の悪化や精神的ストレスによって健康行動が変化し、歯痛を引き起こしていると考えられます

 国内に歯科治療が必要な人は約4000万人いると推測されますが、自己判断で歯科医院を受診せずにいる人の症状が悪化することに厚生労働省や歯科医療界では警鐘を鳴らしています。これは大人に限ったことではなく、全国の小中高学校の調査でも、全体的に口腔内の状況が悪化し、虫歯だけではなく、プラーク(歯垢=細菌の塊)の付着が多くなり、歯肉炎(歯ぐきの炎症)を起こしている生徒が増加していました。これはコロナでの健康被害のベスト4に入るほど深刻な問題です。

 また、歯科医院を「受診できない」子どもも増加しています。「コロナ感染が不安」で受診を控えることが多く、これは親のコロナに対する理解不足が原因です。

定期的に歯医者に行かない人の口腔環境

 虫歯は、細菌の出す酸により歯を溶かす病気です。その進行と症状は、第1段階は歯の表面のエナメル質に穴が空いた状態で、まだ痛みはほとんどありません。第2段階で、エナメル質の下層にある象牙質に進行すると痛みが出始めます。さらに第3段階では、歯の内部にある神経(歯髄)まで達するのですが、歯の神経は痛みを感じるしかできない神経なので、ここまで進んだ虫歯は激しい痛みが出ます

虫歯

左から進行していく虫歯の段階

 虫歯はこのように進行する病気なので、「痛みの大きさ=虫歯の進行程度」と考えている人がいます。しかし、ここには危険な落とし穴が。実は、一度神経治療をした歯は感覚を失っているので、その後に虫歯になっても痛みが出ません。次に痛みなどの症状が出るのは、歯の周りの骨にまで炎症が広がった時なのです。つまり、虫歯の進行を自分で認識できないので、気が付いた時にはすでに手遅れになってしまいます。

 歯周病はもっと危険です。歯周病の症状は出血や歯ぐきの腫れ、歯の緩みですが、痛みを感じることはほとんどありません

 そのため、定期的に歯科医院を受診していない人に共通しているのは「神経治療後の歯の虫歯」と「進行した歯周病」です。どちらも自覚症状がないから手遅れ状態になるのですね。「久しぶりに歯医者に行ったら歯を抜かれた!」という人が時々いますが、歯科医師の立場からすると歯を抜くのは最終手段であり、それほど「予防歯科」を怠っていたことが原因なのです。

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