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元TBSアナ久保田智子さんが後悔する「女子アナの#Me Too」と、報道のあり方

ビジネス

踏み出せば経験が自分の中に残るはず

久保田智子

「#ひろしまタイムライン」の活動の様子

 変わりゆくアナウンサーの役割、Me Tooムーブメント、報道のあり方、戦争の記憶を聞くこと。久保田さんは、その全てに繋がる問題点は「対話の場」がないことだと感じている。

「ツイッターなどのSNSで誰もが意見を発信できるようになりましたが、対話ではなく、一方的なモノローグになっていることが多いし、自分を表現することばかりになっている……。アピールやプレゼンが得意な人はいいですが、そうではない人が置き去りになっている気がします。まずは『聞く』ことが対話の第一歩ではないでしょうか。だから私は『聞き手』として、これからもいろいろな人たちの話に耳を傾けていきたいと思います」

 キー局の女子アナという立場を離れ、自らが信じる道を歩む久保田さん。第二の人生を踏み出そうとしている人たちへのアドバイスはないか。

「辞めた時は迷いなく決断できましたし、夫について行っただけでしたので、助言できるような立場ではないんですよね。個人的な経験からあえてお話するのであれば、未練があるなら踏み出さないというのもひとつの選択かもしれません。しかし、決断すれば、間違いなくフェーズが変わるはずです。私の場合はインタビューとオーラルヒストリーが繋がっていました。不安だったら、私のように小さな一歩を踏み出してみるのもいいかもしれません。過去の自分と決別する必要はないし、引き返したとしても経験は必ず残るので、後戻りという感じはしないんです」

<取材・文・撮影/中野龍>

【久保田智子(くぼた・ともこ)】
1977年横浜生まれ。中高時代を広島で過ごす。東京外国語大学を卒業後、2000年TBSにアナウンサー職入社。『NEWS23』『朝ズバッ!』などを担当したほか、報道記者としても勤務。2017年に退社し、現在はフリーアナウンサー、オーラルヒストリー研究者、被爆体験伝承者として活動

1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で俳優インタビューを担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿

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