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「地ビールレストランで大失敗」獺祭4代目社長に聞く、逆境を乗り越える力

ビジネス

海外でもっと日本酒をメジャーにしたい

 さまざまな困難が立ちはだかろうと、常にそれを乗り越えてきた桜井社長。現在、日本酒の輸出総額は234億円だが、そのうちの34億円は獺祭が占めており、まさに業界をトップランナーとして牽引している。

「とはいえ課題も感じています。日本酒はワインに比べ、まだまだ市場規模が小さい。海外では日本食ブームと言われて久しいですが、日本酒を好んで飲む層は、もともと日本文化が好きな人や、来日経験があって獺祭の味を知っている人と、限定的です。もっと日本の文化や食に馴染みのない人にもアプローチしたいですね」

 そのためには鍵となる取り組みが2つある、と桜井社長は語る。1つ目はフレンチの最高峰であるジョエル・ロブションとのコラボだ

「2018年4月、パリ8区に『Dassaï Joël Robuchon(獺祭・ジョエル・ロブション)』をオープンしました。故ロブション氏から『獺祭は和食より、自分のフレンチが合う』と直々にお声がけいただき、実現しました。日本酒の魅力や新しい食文化を伝えるきっかけになれば運営していきます」

獺祭

フランス・パリにあるDassaï Joël Robuchon(獺祭・ジョエル・ロブション)。1階は洋菓子やパンを扱うパティスリー、2階は獺祭と軽食を楽しめるバー・ティサロン、3階がレストランになっている

「2つ目は、ニューヨークにオープン予定の酒蔵です。コロナの影響で後ろ倒しになっていますが、世界最大の料理大学として名高いCIA(Culinary Institute of America)と提携し、海外でも純米大吟醸を製造・販売していく予定です」

 美味しさは国境や言葉の壁は関係ないという、桜井社長と旭酒造のこれからに注目したい。

<取材・文・撮影/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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