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“検察庁法”廃案は「安倍政権による“ダンボール肉まん”である」<ダースレイダー>

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廃案のやり方にも大きな問題があった

検察庁

ダースレイダー:そもそもの論点に戻りますが、検察というのは刑事事件を担当して、何なら総理大臣も逮捕できる権利があると。かつてロッキード事件のときに、検察は田中角栄元首相(当時)を起訴して逮捕しました。これは検察という組織が持っている力を象徴する事件でした。

 もし不正があれば元首相でも調査するというのが検察の誇りだった。強い権力を持ち、“権力ヤクザ”とも呼ばれる検察を、さらに日本の国家権力のトップに座っている組織である政権が使いこなそうとしているのが今回の問題。これをおかしいんじゃないかとみんなが騒いだお陰で廃案になった。

 廃案というのも、じつは問題があります。検察庁法は国家公務員法と「束ね法案」という形で、一緒に審議していました。国家公務員法の中で公務員の定年延長も議論されていて、そっちに文句を言う人を僕は全然見かけなかった。なのに、みんなが文句を言うからと、政権側は検察庁法だけではなく国家公務員法の改正もまとめて廃案にしてしまった。検察の問題をごまかすために、全部なしにしてしまったように見えます。

 これは『ヒルカラナンデス』というプチ鹿島さんとやっているYouTube番組の中で、“ダンボール肉まん”という例えをしました。美味しい肉まん屋ができたから食べてみたら、ダンボールが入っていたと。「このダンボールおかしいから、取って肉まんだけにしてくれよ」と言ったら「わかりました、肉まん屋やめまーす」と言って店ごと閉めちゃうみたいな。こういったことをされているわけです。こんなことが目の前で行われているのだから、おかしいと思うのが普通だし、なんでこんなことが起きているのか考えるのが必然だと思います。

<構成/鴨居理子 撮影/山口康仁>

1977年パリで⽣まれ、幼少期をロンドンで過ごす。東京⼤学に⼊学するも、ラップ活動に傾倒し中退。2010年6⽉に脳梗塞で倒れ合併症で左⽬を失明するも、現在は司会や執筆と様々な活動を続けている。

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