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勤続10年の旅行会社を解雇された男性が「会社を恨んでません」と語る理由

学び

 新型コロナウイルスの影響が様々な業界に出ていますが、特にダメージの大きいところが観光業界です。

自粛の看板

※画像はイメージです(以下同じ)

 山崎純一さん(仮名・53歳)は、旅行会社で約10年間働いていたそうですが、あることが原因で退職を余儀なくされました。

旅行者が例年の3分の1にまで減少

 山崎さんはパッケージツアーを販売する会社(以下、A社)で、パートとしてデータ入力業務に従事していました。

「週6日で7時間勤務していました。旅行者の名前や住所などの情報を入力する業務をしていて、入力が早いということで一定の評価は得ていたと思います」

 間もなく勤続10年になり、これまで大きな問題もなく真面目に勤めていましたが、コロナによって生活は一変します。

「雲行きが怪しくなってきたのは1月中旬からです。旅行のキャンセルの連絡が増え始めたんです。最初は小さな影響でしたが、どんどん大きくなって2月中旬には旅行者が例年の3分の1にまで減っていました

 A社は、60代から70代がメインターゲット。コロナで重症化する人が多い年代だったことも重なり、業績は悪化の一途を辿ったようです。

突然の解雇通達が届く

解雇通知

 3月中旬、山崎さん含むアルバイト全員の一時解雇が通達されます。4月15日付で全員が解雇され、そして4月15日までの間も週1程度の出勤という形になりました。

 実は山崎さんは、ここまで紹介していた観光業の会社とは別に、もうひとつの会社(以下、B社)でも働いていました。いわゆるダブルワークをしており、これまではA社をメインにしていましたが、この通達により比重をB社に移しました。併せて山崎さんは社会保険もA社からB社へと移します。しかし、このことが悲劇を生んだのです。

 4月1日に政府の特例措置により、雇用調整助成金の申請条件が緩和され、企業が雇用を維持した場合の助成率と上限額が引き上げられました。それに伴い翌2日にA社の解雇通達の撤回が決定。解雇撤回に同僚のパートやアルバイトも胸をなでおろします。当然、山崎さんもこれまで通りに働けると思っていましたが、そうはいきませんでした。

 山崎さんだけが会社側と折り合いがつかず退職処分になってしまうのです。これまで勤務態度も良好で、会社の中でも古株となっていたのに、なぜ山崎さんだけが……。ネックとなったのは社会保険でした

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