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勤続10年の旅行会社を解雇された男性が「会社を恨んでません」と語る理由

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原因はコロナ、会社を恨んでも仕方ない…

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「社会保険を他社に移しているので、雇用調整助成金を適用させるのが難しい」

 A社が、山崎さんが留まることに難色を示したのは、この点でした。法律の知識もなくA社側の言い分に対して反論することができませんでした。さらに、A社側は自己都合での退職を迫ります。そして会社との折衝に疲弊しつつあった山崎さんはA社側の要望通り「自己都合の退職」という形をとってしまいました。

 自己都合退職となったことで、A社からの休業補償も受けることもできなくなってしまった山崎さん。退職から2か月半経ち、複雑な心境を吐露します。

「A社に対しての憤りはもちろんあります。でも、A社もコロナのダメージによって苦しい状態になっていたのは確かです。政府からの補償の情報も遅く、不確かな点もありました。思うところはありますが、完全にA社を恨んでいるかというとそうとも言えません」

 現在、B社の収入だけでは生活するのが難しいので、自治体がコロナで収入減した人を対象に設けた助成金制度「緊急小口資金」を使って生活を維持しているそうです。

懸命に職を探すものの…

 新しい仕事を探していますが、今のところ芳しい結果は出ていないとか。

「転職サイトで10社以上にエントリーしましたが、面接まで進めた会社はまだ一社もありません。コロナ不況に加え、53歳という年齢もネックなのかもしれません……」

 理想としては正社員一本、もしくはこれまで同様のWワークが可能な仕事を探していますが、苦しい日々が続いているようです。

「国からのコロナ支援金を活用することで、あと数か月は今の生活を維持できます。が、その先職が決まらないと厳しいでしょうね……」と、山崎さんは顔を曇らせます。

<取材・文/菅谷圭祐>

大学受験情報誌、IT情報サイトなどでライター経験を積み、2018年よりフリー。最近の趣味は休日の農業、リサイクル業も兼業
Twitter:@sugaya_keisuke

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