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鳥貴族、コロナで1億5300万円の最終赤字に。バイトや社員の声は?

ビジネス

 緊急事態宣言が解除され、各地に賑わいが戻りつつあります。居酒屋に行きたくても行けなかった状況を考えると嬉しいニュースです。そんななか「298円均一」を掲げ、安くて美味しい焼き鳥とお酒が楽しめることに定評がある大手居酒屋チェーン「鳥貴族」も、5月30日より営業再開となりました

鳥貴族

鳥貴族東久留米店  CC BY 1.0 by Asanagi

 しかし、株式会社鳥貴族が6月5日発表した2019年8月~20年4月期の単独決算では1億5300万円の最終赤字に。月次報告の「全店売上高」を見ても、4月は前年同月比3.8%、5月は12.1% と外出自粛の影響を強く受けて苦戦していることが明らかになりました。

 さて、そんな鳥貴族の経営実績はどのようになっているのでしょうか。本連載ではTwitterアカウント「アラートさん」(@blackc_alert)が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説しています。

業績推移:営業利益は黒字だが

 まず、売上・営業利益の推移を確認していきましょう。今回は「財務ハイライト」ページのグラフでは2020年7月期の第3四半期(つまり最新)のデータが反映されていないため、今回は「決算短信」のデータを利用してグラフを独自に作成しました。

 鳥貴族の場合、4半期(クォーター)別のデータは「期初からの累計」で表現されているため、その原則に則ってグラフも作成しています。

鳥貴族

(作成:筆者 以下同じ)

 売上高については、2020年7月期の2Q(2019年8月~2020年1月)までは前年度と同程度で推移できていましたが、3Q(2019年8月~2020年4月)で伸びが鈍化し、前年度割れしている状況です。

 新型コロナウイルス関連の政府の対応が本格化したのが2月中旬のことで、緊急事態宣言が解除されたのが5月末。そのため3Qに相当する期間(2020年2月~4月)の売上が鈍化したのは外出自粛の影響が大きいと言えます。

営業利益は前年比増益

 続いて、同様の粒度で営業利益について確認します。2020年7月期の3Qは売上の落ち込みはあったものの、営業利益は前年比増益で踏みとどまりました。

鳥貴族

なぜ純利益は赤字なのか?

 営業利益はやや波があるものの、一貫して黒字であるため大きく問題ない……と言いたいところですが、鳥貴族の場合は「四半期純利益推移」に注目する必要があるため、四半期純利益推移のグラフもご用意しました。

鳥貴族

 四半期純利益推移を見ると、様相が変わってくることにお気づきでしょうか。冒頭の「最終赤字」というのはこの四半期純利益の損失額のことを言います。営業利益は「本業が赤字か黒字か」を見るものであり、純利益は「一時的な利益・損失および、税金を差し引いたあとの成果」を見るものです。したがって、営業利益が黒字である限りにおいては「本業から利益は出ている」と言って差し支えありません。

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