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コロナ大不況に備える「会社員の生き残り策」をビジネス賢人に聞く

ビジネス

巨大テクノロジー企業の事業領域が拡大

コロナ後の勝ち組になる!

田中道昭氏

 ただし、絶望的な労働市場にあっても、ここぞとばかりに優秀な人材の現地採用を進める勢力がある。世界中に独自の経済圏を広げ、今や国家に匹敵する力を持つアメリカの「GAFA」や、中国の「BATH」(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)といった巨大テクノロジー企業だ。

 外資系金融機関などで要職を歴任した競争戦略アナリストの田中道昭氏は、こう警鐘を鳴らす。

「これまではEコマースにおける『アマゾン対アリババ』などの構図が注目されてきましたが、AIやビッグデータ、クラウドなど巨大テクノロジー企業の事業領域がどんどん接近し、直接的な競争が激化します。トヨタを例に挙げれば、これからの自動車産業では、もはや販売台数のシェアは重要ではなくなる」

不条理を受け入れ、ピンチをチャンスにすべし

「自動車メーカーといえどもすでにサービスを売る勝負であり、さらにはプラットフォームの覇権を争う勝負に変わっています。自動運転や電動化はもちろん、インターネットに常時接続され、さまざまな情報をもとにサービスが利用できる現在のスマートフォンの役割を車が果たす『コネクティッドカー』が主流になる。どの業種においてもそうした変化に備える必要があります」

 とはいえ、中高年サラリーマンがプログラミングを学ぶというのも見当違い。何を指針にすればいいのか。

「外食産業でも早期にオンライン化させ売り上げを伸ばしているところはある。不条理を受け入れ、自分自身の本当の強さを再発見するいいチャンスだと捉えるべきです」(田中氏)

 先の見えない状況の今こそ、先んじてアフターコロナを見据えた生存戦略を練られれば、新たな勝ち組になれるかもしれない。

■ 田中氏のコロナ後の予想:テクノロジー企業の事業領域が近接して競争が激化する

コロナ後の勝ち組になる!

今年1月、トヨタがあらゆるモノやサービスが繋がる実証都市として静岡県裾野市に設置すると発表したスマートシティプロジェクト「Woven City」のイメージ。’21年に着工予定だったが、コロナを受けどうなるのか?

【山本一郎氏】
作家・投資家。情報法制研究所事務局長および上席研究員として、さまざまな社会調査を行う。舌鋒鋭いコラム、ブログも人気。『ズレずに生き抜く』(文藝春秋)など著書多数

【橘 玲氏】
作家。編集者を経て経済小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『2億円と専業主婦』(マガジンハウス)など金融・人生設計に関するベストセラー多数

【田中道昭氏】
競争戦略アナリスト。立教大学ビジネススクール教授。シカゴ大学経営大学院MBA。新著に『2025年のデジタル資本主義「データの時代」から「プライバシーの時代」へ』(NHK出版)

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/bambeam  図版/ミューズグラフィック>

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