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名門レナウンだけじゃない…コロナ倒産した国内外「アパレル業界」5社

ビジネス

オバマ前大統領夫人が愛用したブランドも

ローラアシュレイ

 レナウンは一部上場の大企業であるが、倒産した原因は中小企業と変わらず、元々の経営不振に新型コロナがとどめを刺した構図になっている。

 例えば、同じく倒産時に話題となった「マジェスティックレゴン」などで知られる「(株)シティーヒル」(負債額:約50億円)は、不採算店舗の退去費用やEC販売強化に伴う経費増などで2017年から赤字を計上し続けていた。

 海外のアパレルブランドも同様である。花柄を使ったホームファッションや婦人服を製造販売していた、イギリスの「Laura Ashley(ローラアシュレイ)」も、イケア(IKEA)やザラホーム(ZARA HOME)など低価格なライフスタイルブランドの躍進により、2019年はEC売上高で1430万ポンド(約18億円)の赤字だった。

 ミシェル・オバマ前大統領夫人が愛用したブランドで知られるアメリカの大手アパレルチェーン「J.Crew Group(Jクルー・グループ)」も、競争激化やネット通販の台頭で店舗売り上げが落ち込んでいる中で5月4日に倒産した。ちなみにJクルーの日本での販売はレナウンが行っていた。

独特の販売形態がアダに

百貨店

 これまで紹介した事例はどれも、ファストファッションブランドの台頭による競争の激化やEC対応への苦戦を、業績不振の原因として挙げている。明治学院大学経済学部専任講師で経営学者の岩尾俊兵氏によれば、これはアパレル業界全体通じての事情だったようだ。

「アパレル業界全般に言えることですが、少子化・高齢化による若年層の減少やZARA・GAP・ユニクロなど安価で短期使用の洋服を大量に売る特徴がある巨大SPA(Speciality Store Retailer of Private Label Apparel)の台頭により、超大企業以外のほとんどのアパレルがもともと苦戦していました。

 このため、資金回収期間の異なる販売形態を自社で複数用意してリスク分散していた企業は強いです。たとえば百貨店と自社Web通販とZOZOTOWNなどのサイト通販と路面店とにバランスよく顧客を分散させていた企業や、余裕資金を貯めていた企業、自社ビルなどいざという時に担保になる資産を持つ企業です。反対に、これらの要素を満たしていない企業は苦戦すると思われます」

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