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ビジネス

人件費総額が5年間で100億円増額

 また、すかいらーくHDの決算説明会資料内で、人件費について言及しているページがあったため、引用します。

すかいらーく

図5:人件費総額と時給単価推移(2019年決算説明資料p.15より引用)

 このグラフから読み取れることは下記2点です。

・最低賃金の上昇にある程度合わせて賃金の改定を行っている(最低賃金よりは数十円高めに設定)
・それに伴って人件費総額が5年間で+100億円増額

 企業としては人手不足の影響もあるため、給与を下げることはしませんが、「人件費高騰」が経営課題と認識していることがうかがえるため、給与の大幅な上昇は期待しにくいでしょう。

 結果として、人件費に対して行われる対策が「人件費総額を抑える=人数を減らして効率化する」のみになるため、直近の業務量が大きく減り、楽になることは考えにくい状況です。ただし、今後の本部のIT改革の進捗によっては楽になる可能性は十分にあるので、情報をよく収集して判断することをお勧めします。

すかいらーく「ホワイト/ブラック度」判定

すかいらーく:★★★☆☆

 経営の荒波を乗り越え、回復を果たした企業です。飲食業界は単純に「店舗を増やせばOK」となりやすく、海外進出を図るケースも多くみられます。しかし、そちらの方向ではなく、国内の既存店のテコ入れ・多角化に注力しているところが独自ポイントだと思われます。テコ入れ内容についても、アニュアルレポートや決算説明資料で要点を踏まえて情報共有しており、今後の経営成果にも期待を持ちやすかったです。

 デリバリー・テイクアウトとITと、今後の情勢でも有利になる分野の仕込みを行ってきた成果は、今後の経営実績にプラスの影響を及ぼすことになるでしょう。

 ただ、その一方で現場のアルバイトメンバーは仕事が忙しく、時給も上がりにくいようです。IT活用で業務負荷を下げられるかどうかが今後の人員確保にも大きく影響しそうです。そのため、最終的に★3としました。

<TEXT/アラートさん>

ブラック企業を生き抜いた歴戦のプロダクトマネージャーが、公開情報からホワイトorブラックを判定し、率直な理由とともにお伝えします。
Twitter:@blackc_alert
note:ブラック企業アラート

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