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新型 iPhone SEが発表。eSIM対応でスマホがもっとお得に

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“ガチンコ”の価格競争に突入か

eSIM

※画像はIIJmio公式サイトより

 eSIMが普及すると、携帯会社の乗り換えは今よりもはるかに簡便になる。

 eSIMの場合、実物のSIMカードの郵送を待つ必要がないので、オンラインでのやり取りだけで乗り換えが完了する。以前のキャリアのメールアドレスは失われてしまうが、番号ポータビリティ制度を使えば、電話番号を変えないままにキャリアを変更できる。

 こうなってしまうと、「安い回線」「早い回線」への乗り換えを躊躇する理由がない。ユーザーがキャリアを選ぶ理由は「価格」と「通信の実効速度」のみとなる。

 価格面で優位なのは、言わずもがなMVNO(格安スマホ)勢である。新規参入の楽天モバイルはMVNOではないが、立ち位置としてはこちらに含めたほうがいいだろう。

 対する大手キャリア3社の側は、実効速度の面で強みを持つ。ノートPCやタブレットPCをテザリングで使うことも考えれば、たとえ価格が高くても、大手との契約を続けるのが無難だろう

 しかしこの優位性は、来たるべき5G化で希薄化する公算が大きい。5G回線の余力が大きいだけでなく、現在4Gで行われている通信トラフィックが5Gに流れることで、結果的に4Gネットワークに余裕ができ、MVNO回線が快適になるという可能性もあるからだ。

これを機に携帯料金が安くなる!?

 ところで、MVNOと大手キャリアの競争はすでに始まっているが、大手が取った対抗手段は迷走を極めていた。

 たとえばSoftbankは「スーパーフライデー」、auは「三太郎の日」というキャンペーンを打ち、提携商品の無料配布などを行ってきたが、どちらも本業の情報通信とは関係のない内容だ。

 これはおそらく、消費者の意識を「価格競争」から遠ざけることがねらいだったのだろう。しかし、eSIM時代になってもそんな手段が通用するだろうかと考えると、大きな疑問符が付く。

 日本で「携帯料金の高止まり」が指摘されるようになって久しいが、eSIM、そして5Gという新規格は、この状況の突破口となる可能性を秘めている。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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