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吉野家HD「国内事業」が抱える3つの課題。コロナの影響は軽微も…

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店舗数:海外でも店舗数拡大が目覚ましい

 さて、数値面での実績はどうでしょうか。次はIR情報(とくに決算短信)の情報を使って紐解いていきましょう。

 吉野家の経営母体の吉野家ホールディングスはIR情報の開示期間が上場している同業他社と比べても特に広く(2005年度から公開)、データを使って調べる人間にとっては幸せなデータの宝庫でした。また、3月時点の速報値も開示されているため、計数管理の体制もしっかりしているものと推察されます。

 今回は決算短信において、国内外の吉野家業態がセグメント分けがされるようになった2011年度以降のデータを利用して、吉野家の海外進出の状況・売上・利益を概観しました。まずは店舗数を確認します。海外進出状況を把握するため、国内・国外に分けてグラフを作成しました。

国内店舗数は1200前後で横ばい

吉野家

図 1 吉野家の国内・海外店舗数推移(グループ店舗数一覧をもとに筆者作成)

 吉野家HDの「グループ店舗数一覧」では「月ごと」の店舗数推移が公開されており、他社では類を見ないくらい親切なデータなのですが、今回は便宜的に12月(年末)時点での値を基準とし、2020年についてのみ最新の3月の値を使用しています。

 また、表内の海外店舗に「はなまる」が含まれているのは、吉野家HDの「海外事業」セグメントに吉野家・はなまるうどんが両方含まれているので、海外事業セグメント内での売上の影響を確認するためです。それを踏まえて店舗状況を整理すると、下記のようになります。

・国内は1200店舗前後で横ばい
・海外店舗は順調に増加傾向
・中国での店舗数増加が著しい(※中国で最も出店が多いエリアは北京で、2020年3月時点258店舗)

 したがって、現在の店舗数の伸びは大半が海外進出の拡大によるものと言えます。

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