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スターバックスの非常識な発想。“行列を生む”人気の理由とは

学び

 アメリカのサンフランシスコで生まれたリトルミスマッチというソックスブランドは、色や柄がバラバラな3枚のソックスを1セットで売っています。これは、靴下は左右で同じ色と柄でなくてはいけないという常識を覆し、自分で組み合わせて楽しめるという体験を生み出し、アメリカで大ヒットしました。

 イギリスのライフスタイル誌『MONOCLE』は、1回ごとに購入するより定期購読の値段を高く設定して成功した例です。

 定期購読はまとめ買いと同様に、通常より値段を安く設定してお得感を出すのが常識ですが、『MONOCLE』はその逆を行きました。高額にする分、読者イベントなどに参加できるといった特典を付けたところ好評で、定期購読者は1万8000人にも上るそうです。

なぜスタバはこんなにも人気なのか?

スターバックス

 有名なケースでは、スターバックスもカフェの常識を壊した例になります。

 通常、カフェは回転率を上げるために、座り心地の悪い椅子を設置したり、席と席の間隔を狭めて、すぐにお店を出たくなるような店づくりをしています。スターバックスは逆に、リラックスできる大きなソファや、Wi-Fi の無料提供などを通じて、長居ができる空間を作っています。

 スターバックスは店を自宅でも会社や学校でもない「サードプレイス」として位置付けて、仕事に向かう途中に立ち寄る場所、仕事帰りに自宅に着く前に一息つく場所、としての第一想起のポジションを獲得しました。

 私たちは知らず知らずのうちに常識に沿って考える癖がついています。このように、常識の対極にあるものを思い描くと、枠外から飛び出して自由に発想できるようになります。

<TEXT/佐々木康裕>

Takramディレクター&ビジネスデザイナー。早稲田大学政治経済学部卒業。イリノイ工科大学デザイン大学院(Institute of Design)修士課程(Master of Design Method)修了。グロービス経営大学院客員講師(デザイン経営)。著書に『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(NewsPicksパブリッシング)がある

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