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マツコの番組でも話題に!愛知の赤字水族館が大復活できたわけ

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若手の頃はなかなか意見が通らなかった

ダイオウグソクムシ

お客さんの素朴な疑問に答えるポップ。痒いところに手が届くような内容となっている

 竹島水族館の実情に危機感をおぼえた小林さんは、入社1年目から改革案を積極的に出していました。しかし、周囲にいたのはベテランの飼育員ばかり。当初は自分の未熟さが壁となり「思うようにいきませんでした」と打ち明けます。

「例えば、僕から『水槽の中をよく観察できるように、裏側に見学ルートを作れば』と提案しても『それはいいから、魚の名前を覚えなさい』といわれたり、聞く耳を持ってもらえなかったんです。入社5年目くらいまではずっとその状況が続いていて、正直、仕事へ行くのが嫌で辞めようと思った時期もありました。

 風向きが変わってきたのは、その後からでしたね。街でも『竹島水族館が危ない』という噂は流れていて、先輩たちの転職や退職が目立つようになってから、自然と自分の意見が通るようになっていっていきましたね。

 地元の漁師さんから食用ではない魚を買い取り、深海生物と直にふれあえる『さわりんぷーる』を作ったり。他の水族館でみた案内をヒントに、限られた予算内で魚たちの生態を伝えようと、画用紙で手描きのポップを作ったりと、みんなで一丸となり少しずつ工夫を重ねていきました」

客足が戻るようになった「丸坊主」宣言

タカアシガニ

タカアシガニは近くで見るとなかなかの迫力。もちろん触れる

 努力は実を結び「8年ほど前から客足が戻ってきました」と話す小林さん。転機となったのは、2011年。もちろん職員の同意の上で「今年度の入館者数が16万人に達しなかったら、男性職員丸坊主になる」と宣言し、一躍注目の的になったといいます。

「2010年の来館者数が12万人と過去最低を数えたので、決意のために発表したら新聞やテレビで大々的に取り扱ってくれたんです。そこからお客さんたちが足を運んでくれるようになり、飼育員たちにもやる気がみなぎってきて。

『自分たちが飼って満足するだけではなく、いかにお客さんに楽しんでもらえるか』を柱に、施設の改装を本格的に進めていきました」

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