「儲かる人の特徴とは?」moto×鈴木祐が語る、自分の強みの見極め方
立場がわからないサラリーマンはツラい
――motoさんも自分を見つめ直すタイミングなどはありませんか。
moto:僕は職務経歴書を常にアップデートして、自分の市場価値がいくらなのか、次の売り先はどこかを把握するようにしています。転職エージェントなどに外部診断してもらうのですが、もはや健康診断のような感覚ですね。
鈴木:その健康診断で、市場価値がはっきりと分かるものなのですか?
moto:分かりますよ。「このキャリアで、この立場なら、このくらいの年収で、こういう募集がありますよ」と転職エージェントやヘッドハンターが教えてくれます。
もっとリアルなのは、実際に企業の面接を受けてオファーをもらうことですね。オファーがもらえれば、自分の今の値段も分かります。自分の立ち位置をGPSするのって結構大事だと思いますよ。
鈴木:自分の立ち位置を常に確かめているんですね。僕なんか自分のことが全く分かっていないですけどね。だから科学が好きなんでしょうね。科学で自分の立ち位置を見極めていくみたいな。そういう意味では似たようなことをしているかもしれません。
moto:自分の立ち位置が分からないと本当につらいですからね。サラリーマンの一番の不安はそこかもしれないです。「今、自分は何をしているんだろう」「これをやっていて何になれるんだろう」って不安になるんですよね。
でも自分の立ち位置が分かれば、不安は減らせるはず。僕は自分の位置をしっかり把握しているから、失うものはないと思っているのかもしれません。会社をクビになっても、「あの企業のオファーがあるし、次がある!」って思えるので。自分が挑戦できる土壌を作っておくのが大事だと思いますね。
鈴木:不安対策はこれですね! 解決しました。
本に書いてあることが正解ではない
――最後に迷えるサラリーマンに正しいキャリア選択のアドバイスをお願いします。
鈴木:motoさんみたいに上を見続けても挫折したり、全くヘコまない人は珍しいですからね。僕みたいに軸のない人間は、安心するためには数字に頼るのが一番だと思います。著書に載せている統計はすべて公開されているデータですし、それに当てはまるか、外れているか確認してみるのは、自分に合ったキャリアを選択するひとつの手段だと思います。
moto:著書で書いていることはあくまで僕自身の経験なので、目指してほしいとも、それが正解だとも思っていません。「師を見るな、師が見ているものを見よ」という言葉があるように、僕ではなく、僕の考え方を参考にしてもらいたいです。
今の時代は会社のキャリアが人生の全てではないので、自分のライフステージに合わせて、働き方や働く場所を変えていくのもいいと思います。年収を追うだけでなく、ゆっくりと生活したいなら、その生活を送れる働き方ができる会社に転職するとか。結局は自分がどうなりたいかが大事だと思います。
鈴木:その通りだと思います。それでmotoさんは今後どうなりたいんですか?
moto:もっともっとお金を稼ぎたいですね!
鈴木:本当にブレない方ですね(笑)。清々しいです。
<取材・文/中野龍 撮影/八杉和興>
【moto(もと)】
1987年、長野県生まれ。実名は戸塚さん。地元の短大を卒業後、ホームセンターに入社。リクルートなど4度の転職を経て、現在は本業年収1000万円、副業年収1.2億円。講演・SNSなどで多くのサラリーマンの悩みに答えると同時に、昨年初の著書『転職と副業のかけ算』を上梓
【鈴木祐(すずき・ゆう)】
1976年生まれ。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。著書に『最高の体調』『科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)ほか